日本対ブラジル 過去最高に楽しみな試合だったが、結果は意外なものだった!

本当に楽しみな試合だった。

平日の夜だったが、一部始終見れて本当によかったと思う。

お互いの国歌斉唱後、あっけないほどすぐに、試合が始まった。

まずは、先発メンバーである。

日本は、前試合のフランス戦と違うのは、右SBに内田、そして本田が出てくれていたことだ。本田がいるだけで、かなり期待できると思った。

対するブラジルは、私の知っているセレソンメンバーとは数人だけだが変わっていた。

GKのジエゴ・アウヴェス(バレンシア)、左SBにレアンドロ・カスタォン(ローマ、元コリンチャンス)、あとは、セレソンでは超久々のカカーが入っていた。他は予想通り。ロンドンオリンピック同様10番はオスカールがつけトップ下で。攻撃陣は、右にフッキ、左ネイマールロンドンオリンピックと同様だった。ただ、カカーが入ったため、通常レアンドロ・ダミアォンが入っていたトップがいない布陣となった。

開始早々は、日本が完全にボールを支配した。パス回しは冴えわたっており、これはある意味、予想通りだと思った。日本はまるでバルサのようなパス回しをし、ブラジルは、まったくボールが奪えない状態がしばらく続いた。

日本のパスサッカーが、ブラジルの独特の間合いを取るサッカーより勝っているのではないか、と開始早々から思わされた。

ちょっと違うのだが、少し、去年12月のクラブW杯決勝のバルサ対サントスを思い出された。あれほどひどくないが、もうブラジルのサッカーは時代錯誤なのではないか、と思わされる内容だった。

しかし、そんな中、あっけないほど簡単に、劣勢だったブラジルにゴールが決まってしまったのだ。まさに、決まってしまったという表現がぴったりだろう。中盤でボールを奪ったブラジルは、簡単にパスを受けたボランチパウリーニョコリンチャンス)がミドルシュートを放ち、これがゴールに入ったのだ。

チャンスらしいチャンスのなかったブラジルが1-0とリードすることになった。前半12分のことである。

この試合、私は特にどちらかを応援してはいなかった。私は、ネイマールが大好きなので、ネイマールがいるセレソンは、応援しないわけにはいかない。それもネイマールは絶対的なエースとして出ているので、サッカー王国の意地を見せつけてほしいと思ったりしていた。

しかし、一方で日本を応援したい気持ちも当然もあった。

だから、勝敗にはこだわらず、とにかくいい試合をしてほしいと思っていたのだ。

戦前は、日本優位かなと思う気持ちが大きかった。

そして、思ったとおりの立ち上がりである。これは、ブラジル、かなり厳しいな、と思わざるを得なかった。

それが、いきなり、そんな劣勢だったブラジルに点数が入ってしまったのだ。これには面食らった。

緊張感のあるいい試合を期待するためには、日本にゴールを奪ってほしかった。

ブラジルにゴールが入った後も、日本はよかったと思う。

しかし、そんなさなか、PA内でカカーが今野ともつれて倒れた。そこでPKの判定が下されたのだ。この接触は、明らかにPKではないと思った。判定は、カカーを倒したのではなく、倒れた後の今野のハンドを取ったようだった。

これはないだろう、と思った。

ブラジルは、ネイマールがPKを決め、早くも点差を2に広げたのだった。ネイマールが蹴ることがわかったときには、絶対決めると思った。昔はPKが苦手だったネイマールも、最近では外したところを見たことがない。絶対的な自信を持って蹴っているので、必ずといっていいほど決まるのである。

前半26分で、日本は2点のビハインドを背負わされてしまったのだ。

しかし、時間は十分にある。日本も1点ゴールが決まれば、どうなるかわからないだろう。

しかし、その後、余裕を持ったブラジルが徐々に、ペースをつかみ出す。これもいつものことのようだ。ブラジルは本当にスロウ・スターターだ。しかし、試合が進むと、ペースをつかみ、徐々に自分たちのサッカーができるようになるのだ。

日本は、中盤のパス回しはいいのだが、トップにうまくつなげない。トップにつなぐところで、見事なほどに、ボールを奪われていた。

それに対し、ブラジルは、中盤より後ろでは、相当にゆっくりとしているのだが、いざ攻撃陣がボールを持つと、スピードが上がり、必ずといっていいほどフィニッシュまでいくのだ。

それが、日本とブラジルの大きな違いだろう。

緊張感のある試合を望むため、日本に一刻も早く点数が入ってほしかったが、そのまま2-0で前半を終えた。

日本はゴールこそ奪えてないが、決して悪いという感じではなかった。それよりも、ブラジルがラッキーな感じで2ゴール奪ったという感じだった。

後半開始と同時に、日本は2人の選手を交代させた。トップ下に入っていた中村憲剛に代えて乾を。そして右SBを内田から酒井宏樹に代えたのだった。

日本にとっては、とにかく1点である。決して攻撃ができていないわけではないので、1点入ればどうなるかは分からなかった。

しかし、そんな日本の心情をあざ笑うかのように、後半開始早々の3分に、CKからネイマールに決められてしまったのだ。これで3-0になってしまった。

その後、3点のリードを得たブラジルは、気持ちに余裕があるものだから、今まで以上に自分たちのペースでサッカーができるようになっていた。

一方の日本は、前半ほどのパス回しができなくなっていた。また、必ずといっていいほど、ゴール前、PA直前ぐらいでブラジルにボールを奪われていた。

そんな中、またもブラジルにゴールが決まってしまった。ネイマールのアシストからカカーが決めたのだ。4-0になってしまった。

久々にセレソンに選ばれたカカーの動きにも注目していたが、素晴らしかったとはいえないが、悪くはなかった。ゴールも決めたし、ボールをキープする力は見せつけていたし、周りともフィットしているように見えた。十分に合格点だろう。

あとは、私の応援しているネイマールだ。個人技のレベルの高さは十分に見せつけることができたのではないだろうか。

結局、楽しみにしていた試合は、意外にも4-0でブラジルが圧勝した。

これは、私の予想とはまったく違う結果だった。

私は、日本優位にずっと試合が進むと思っていた。しかし、現実は違った。

今日の試合を見て、流れ、試合のあやのようなものを、強く感じた。

決めるべきところできちんと決めるチームと、プレッシャーの比較的弱い中盤ではパスが回せるが、肝心のトップへボールを繋げないチームとの差なのだろう。

しかし、日本が先制していたら、結果はかなり違ったように感じる。その点では、ある意味残念だ。

一方で、弱いと思っていた世界ランキング14位のブラジルは、サッカー王国のプライドをかけて、面目を守った。このことは私の予想とは違ったが、とてもうれしく思った。

ただし、この結果を受けて、本当にブラジルは強かったのか、日本が弱かったのか、よくわからない部分もある。

しかし、それぞれに課題はわかっただろう。それだけでも、大きな収穫だったと思う。

これを糧に、日本もブラジルもより強くなってほしいと願うのである。

そして、また、この夢のような対戦を見たいと思うのであった。