新生セレソンの4戦目の相手はアギーレジャパン。3年連続となったブラジル対日本はまさにShow do Neymarだった!

10月14日(火)、ブラジル代表対日本代表の国際親善試合がシンガポールで行われた。

平日の夜だったが、何とか早めに会社を出ることができ、開始20分ほど前には帰宅することができ、リアルタイムで一部始終見ることができた。

このカードが行われるのは、3年連続である。

2012年にこのカードが組み込まれときには、本当に嬉しく、楽しみに思ったものだった。

特に大好きなネイマールが主力のセレソンと我が国日本という組合せが決まったときは、これ以上ないぐらいの楽しみを感じた。

2012年当時、私は、日本について相当に強いと感じていたし、反対にブラジルは前年のクラブW杯でのサントスの惨敗もあり、世界的なサッカーから遅れているのではないかと相当危機感を持っていたことを思い出す。そのため、結果こそ4-0でブラジルが勝ったが、内容的には、日本が互角以上の戦いができていたことが印象深い。

反対に、2013年の対戦はコンフェデ杯での真剣勝負の場であったが、開始3分というブラジルにはこれ以上ない時間帯にゴールを決め楽に戦えたということもあるが、日本は2012年よりも明らかに退化したように映った。

そして、今回だ。

W杯を終え、日本もブラジルも新体制で臨んだが、危機感という面ではブラジルは日本の比ではないだろう。

ブラジルが、前試合の対アルゼンチン戦から先発を1名変えただけのほぼベストメンバーで臨んできたことに対し、日本は先発初出場者が目立つ若手中心のスタメンを選んできた。

長年日本代表を引っ張ってきた選手では、GK川島とFW岡崎しかいない。あの本田も長友もベンチスタートだった。

この日本の布陣を見て、アギーレは何を考えているのかと思った。新メンバーを試すというのはとても重要なことなので、まったく悪いことではない。しかし、この試合以前に3試合あったのだ。ブラジルに敬意を払って、以前の3試合でメンバーを試し、ブラジル戦で現時点でのベストメンバーで臨むのが普通の考え方だろう。それとも、ブラジルをジャマイカ以下の弱小チームだとみなして、勝負は二の次で新戦力のテストの場としたのだろうか?

ブラジルの選手たちも驚いただろう。最近ミランで絶好調の本田がいないのである。ほとんど世界的には無名のメンバーたちだ。舐められているなと思ってもおかしくないだろう。

私は、一昨年、去年とこのカードは、とにかく素晴らしい試合を観たい、いい戦いをしてほしいと思っていたが、いくらネイマールがいるとはいえ、やはりどちらかと言えば日本を応援していたと思う。

しかし、今回は違った。W杯での絶望の淵から這い上がるためにも、ブラジルに勝ってほしいと思っており、この日本代表の先発メンバーを見てその思いは尚更強くなった。

さて、試合は始まったが、最初はブラジルがゆっくりとパスを回していた。ブラジルがボールをキープして、チャンスがあればゴールを狙うという展開だった。何度か、ネイマールのドリブル突破が見られたが、シュートまで持ち込めず、ネイマールも本調子ではないな、と思わされた。日本も、少ないながらも何度かチャンスはあった。

そんな中、前半18分、ジエゴ・タルデーリからの縦パスがネイマールに渡り、DFを一人かわしGKもかわし、きれいなゴールを決めたのだ。ここで決めないと、というところを確実に決める。この決定力は本当に素晴らしい。これで早くも1-0になった。ブラジルにとってはホッとしたところだろう。いくら、新生セレソンになって3連勝していても、その中で一番弱いと目されている日本に仮に負けるようなことがあったら、国民から何を言われるかわからない。

しかし、前半のその後の時間帯、日本は左SB太田からいいクロスが何本か入り、いい形で攻撃ができる場面もけっこうあった。しかし、ゴールは決まらなかった。

前半はそのまま1-0で終了した。

息を吹き返したい日本だったが、いきなり出鼻を挫かれた。後半早々にまたもネイマールに決められたのだ。柴崎のパスミスを後半から代わったばかりのフェリペ・コウチーニョがカットし縦パスに反応したネイマールがGKと1対1になり冷静に決めたのだった。決定機を見逃さず確実に決めるところはすごい。

後半から日本は本田を投入したが、この日はまったく機能しなかった。それよりももう少し後に投入された武藤はかなり果敢に攻めていた。この姿勢は立派だと思った。

しかし、後半はブラジルが格段によくなった。特にフェリペ・コウチーニョ、カカーはかなり効いていた。ホビーニョもよく頑張っていた。皆、日本の選手以上に真剣だ。フェリペ・コウチーニョは相当若い頃に騒がれていて、最近はあまり聞いていなかったが、着実に実力をつけていたようだ。またカカーやホビーニョなど往年のクラッキといわれる選手たちも今回のセレソンメンバーに選出されており、特にカカーの動きはよく感じられた。まだまだ健在だと思わされた。

結局、その後もネイマールに2ゴール決められ、終わってみれば4-0の圧勝劇。ゴールはすべてネイマールという、まさにショー・ド・ネイマールな試合になったのだった。

調子が悪いと思わされたネイマールだが、時間が経つにつれて調子を上げて行った。サッカーはゴールを決めてなんぼなので、これだけ決める力があるというのは素晴らしい。

しかし、依然としてネイマール頼み、ネイマールのチームという印象は拭い去れない。

ただし、新生セレソンになり4連勝と結果を出していることは評価できるだろう。これからも新生セレソンを見守っていきたいと思う。

最後に、日本代表についても触れておきたい。

日本は結果的に惨敗になってしまったが、成果もあっただろう。特に左SB太田は何度も効果的なクロスを上げていたし、小林悠も鋭いシュートを放つなどいい動きを見せていた。この二人については今後も見たいと思わされた。

しかし、全般的にもっともっと攻めなければだめだろう。ブラジルにとっても、出てこないし攻めてこないのでほとんど怖さは感じられなかったのではないだろうか?

日本にとってブラジルとできるチャンスがまた来年あればいいがそれはわからない。だからこそ、せっかくの機会だったのでもっと頑張ってほしかった。

果たして、次のこのカードはいつ観ることができるだろうか?また観たい、そして素晴らしい戦いを観たいと思うのである。