日本対フランス 終始劣勢だったにもかかわらず、日本は奇跡的な勝利を収めた!

ブラジルを離れてしばらく経つが、サッカーを見る機会が極端に減った。

これは、熱狂的に応援していたサントスの試合が見れなくなったことが一番の要因だと思う。しかし、ここ日本の私の自宅での、世界中のサッカー中継を見れる環境が整っていないことも大きいだろう。しかし、仮に見れる環境があっても、物理的にいや精神的に悠長に見ようとは思えていないだろうとも思う。

しかし、だからといって、サッカーに興味を失ったわけではない。見れる範囲では見ているのだ。

そんな中、日本代表がセレソン・ブラジレイラ(ブラジル代表)と親善試合をやることが決まったときは、本当に楽しみだと思った。

2~3年前まで、常に、ブラジルは世界ランキング上位(少なくてもベスト3)を維持していた。それがいまや、世界14位である。落ちるところまで落ちてしまったという印象だ。

ブラジルが強いと思っていたのは、今は昔である。

2006年、2010年のW杯ではベスト8止まり。そして、昨年末のクラブW杯でのサントスの天晴れなほどの負けっぷりを目の当たりにし、世界のサッカーの中心はヨーロッパだと思い知らされた。

だから、この対戦が決まったときは、日本のほうが強いんじゃないかな、とにかくいい勝負になるだろう。なんとしても、この試合は見届けなければと思い、早々に、忘れないために、手帳にこの試合のことを記入したのだった。

さて、そんなブラジル戦を含む、日本代表のヨーロッパ・アウェイ2連戦の初戦が、このフランス戦だった。当初、てっきり平日の真夜中にやるものだと思っていたので、見れないものだと思い込んでいたのだが、土曜の早朝だったため、無理して見ることにしたのだった。

前日、金曜の夜、早々に寝て、試合開始の朝4時に起きようと思っていたのだが、いつの間にか、ソファでうたたねしており、気づいて大急ぎでフジテレビをつけた。試合は始まっていたが、時計は0分13秒となっていた。ちょうど試合が開始したところだった。奇跡的に、起きることができ、試合をほぼすべて見ることができたのだ。

この日の日本代表は、右SBに内田ではなく酒井宏樹、トップ下には本田でなく中村憲剛、2列目左は岡崎でなく清武、そしてワントップはハーフナー・マイクだった。

試合前から、本田は怪我をしており出場の可能性が低いことは知っていた。しかし、それでもやはり本田の欠場は残念だと思った。今の日本代表の中心人物が本田であることは間違いないだろう。

一方のフランス代表で知っているのは、FWのベンゼマ、GKのロリスぐらいだった。これは、私がヨーロッパサッカー、特にフランスリーグに詳しくないからだろう。他にも有名な選手はいるのだろうが、私が知らないだけだと思う。リベリーは温存したのだろう、ベンチスタートだった。

さて、試合は完全にフランスペースだった。日本はまったくボールキープできない。フランスの攻撃はすごく速く感じた。

これには、意外な感じがした。最近の日本代表は相当に強くなっていると思っていたし、志向しているのが、スペイン流のパスサッカーだと思っていたので、フランスとほぼ対等にパスサッカーで攻撃の形を作れると思っていたからだ。しかし、現実には、フランスのスピード感あふれる攻撃に手も足も出ない、といった状態だった。これも、攻撃の要である本田がいたら変わっていたかもしれないが・・・。

そんなフランスの猛攻を全員で耐えしのいでいた。日本の守備が踏ん張ったのと、フランスのフィニッシュの精度に助けられ、何とか前半は0-0で終了した。

しかし、この時点で、日本のシュート数はわずか1。フランスは10本以上あっただろう。CKは日本ゼロに対し、フランスには8本もあった。いかに攻め込まれていたか、防戦一方だったか、ということがわかるだろう。

まったくいいところなかった前半だったので、後半開始からメンバーを代えてくるかなとも思ったが、前半と同じメンバーで戦っていた。

後半もしばらくは、前半と同様な感じだった。しかし、時間が経つうちに、徐々に日本もチャンスを作れるようになってきた。これは、日本がよくなったというよりも、フランスの足が止まってきたから、といった感じだった。

しかし、後半も圧倒的にフランスのほうがチャンスを作っていた。ベンゼマは前半だけで下がったが、後半途中からリベリーが出てきた。やはりこの人の破壊力はすごかった。しかし、そのすべてをGK川島を中心に守りきったのだ。

そんな中、後半も40分を過ぎたところで思いがけないことが起こった。

この日何度となくあった相手CKの直後、そのこぼれ球を日本が拾い、そのまま相手PA直前までドリブルで中央突破した。そして、右に走りこんでいた長友に絶妙なパスを出し、即座にクロスを中央に流し、ゴールが決まったのだ。

一瞬のことで、何がなんだかよくわからなかったが、きれいにゴールネットを揺らしていた。

ゴールを決めたのは香川だった。そして、中央突破の圧巻のドリブルをしたのはなんとCBの今野だったのだ。

今野、長友、香川の連携は、完璧だった。あまりにはまりすぎていた感じだった。

それにしても、このプレーは本当にすごいと思った。

今野のドリブルもすごい。よく相手に追いつかれなかったと思う。この時間帯だったので、相手も相当に疲れていたのだろう。そして、それと併走した長友へのパスは絶妙だった。そして、最終的に香川が決めるのだが、この最後のアシストもすごい。決して簡単なパスではなかったと思うが、それを決めた香川もさすが日本の至宝といわれるだけあると思った。

しかし、こんなはまり方は、本当に数十回に1回ぐらいの割合だろう。それをこんな大試合でできてしまったのだから、本当にすごいといわざるをえない。

そのまま1-0で日本がアウェイでフランスに勝ったのだ。

勝ったことは素直に喜んでいいだろう。

しかし、試合内容を見ると、決して優位だったわけではない。かなりの劣勢だった。それを忘れてはいけないだろう。

日本もまだ、ヨーロッパの強豪と肩を並べる存在になったとは、決していえないだろう。

しかし、耐え忍べば、このような結果を生むこともできたことは事実なのだ。

これで、ますます、ブラジル戦が楽しみになった。

ブラジルは選手個々の個人技には勝るが、攻撃のスピードはかなり遅いと思う。日本のパスサッカーもブラジル相手なら、けっこういけるのではないか。ネイマールさえ抑えることができれば、日本のほうが優位に試合を進められる可能性も十分にあると思う。

今から、本当に楽しみなブラジル戦なのである。