沢木耕太郎「杯(カップ) 緑の海へ」と宇都宮徹壱「日本代表の冒険 南アフリカからブラジルへ」を一気に読んだ。

私は、沢木耕太郎の大ファンである。彼のような文章を書きたいと思い、常々雑文を書いていた。

そんな沢木耕太郎の2002年W杯コリア・ジャパンについて書かれた「杯」は出版されて早々にハードカバーで読んでいたが、数年前に日本に一時帰国した際に、もう一度読みたいと思い、文庫本版を購入し持ってきていたのだ。

2002年のW杯は、私にとってサッカー観戦のおもしろさを知らしめてくれた大会だった。

それまでは、Jリーグ清水エスパルスのファンでたまにスタジアムに観戦に行ったことはあったが、それほど熱心なサッカーファンではなかった。

しかし、この2002年のW杯では、自国開催ということもあり、自分自身相当に思い入れを持ちながら、予選リーグの試合からかなり真剣に見るようになった。

なにしろ、毎日、ゴールデンタイムに2試合ずつ(午後6時と午後8時半開始)試合が行われるのである。サッカーファンにとってこれほどおもしろいことはないだろう。

そのうえ、何とか1試合チケットを入手して、W杯の試合を生観戦してきたのだ。

横浜で行われた予選リーグの「エクアドルクロアチア」という超マイナーなカードだったが、国際Aマッチ、生観戦の楽しさ(特に雰囲気)を味わい、それがきっかけとなり、積極的に生観戦をするようになったのだ。

そんな思い入れのあるコリア・ジャパン大会を私の大好きな沢木耕太郎が記述しているのだから堪らない。

この人の文章は、紀行文とスポーツノンフィクションが一緒になっており、それが私には適度に心地いい。

その後、この本を読み終え、同じくW杯の大会について書かれた宇都宮徹壱の「日本代表の冒険」も読むことにしたのだった。これも一時帰国した際に購入しており、いずれ読もうと思っていた本だった。

宇都宮徹壱については、Yahoo Japan(スポーツナビ)でコラムを書いており、よく読んだりしていた。私は、スポーツコラムのようなものが好きでよく読むが、この人の文章は、ほどよく硬さがあり、なかなかいいと思って読んでいた。

私にとって絶大な存在は、沢木耕太郎の文章だが、宇都宮徹壱の文章も一気に読んでみて、紀行文とスポーツノンフィクションが一緒になっているという意味でも、ちょっと近い感じがした。

これは、私にとって大きな発見だった。

私はしっかりした文体で書かれた文章を読むのがとても好きだ。

以前、mixiによく書いていたときなども、足あとで辿り、しっかりした文章の日記に出会えることは一つの楽しみでもあった。

まったく同類だとは思わないが、沢木耕太郎の文章を髣髴させるライターに始めて出会ったといっても過言ではなかった。

直近のW杯2010年の南アフリカ大会についてなので、そのときのことが思い出されて、とても楽しめたことも大きい。

私も、自分がmixiに書いた文章を読み返したりしてみた。

このような素晴らしい本、ライターにまた出会いたいと思うのだった。