準決勝2戦を振り返る

先週の火曜と水曜、4月24、25日にチャンピオンズリーグの準決勝の2試合が行われた。

火曜日の試合がバルセロナチェルシー、水曜日の試合がレアルマドリッドバイエルンミュンヘンの対戦であった。

注目は何といっても、スペインの2大チームの行方だろう。

その直前の土曜日にこの2チームは、世界が注目するクラシコを国内で行ったばかりだった。

この2試合は私もかなり注目していたので、何としてもTV観戦したかった。

2試合ともに、こちらのブラジルの時間で午後3時45分開始だった。私の仕事の勤務時間は、この4月から変更し、午前7時から午後4時になった。そのため、この2日間は急いで仕事を切り上げ(といっても退社したのは両日とも4時20分頃だったが)、両日とも後半開始からTV観戦することができたのだった。

さて、まずは、バルサチェルシー戦から記述したい。

帰宅途中、車内のラジオニュースで試合速報が流れた。2-0で早くもバルサがリードしているとのことだった。しかし、帰宅したら状況は変わっていたのだ。何と前半終了間際に、チェルシーがハミレス(ラミレス)のゴラッソが決まり、2-1で前半を終了したとのことだった。既にTV観戦していた長男が得意げにそう話してくれた。そして、ハーフタイム中のTV画面には、そのハミレスのゴールが何度も流されていた。

これはおもしろくなったと思った。てっきり、バルサの一方的なゲームになると思ったところ、チェルシーが起死回生のゴールを絶妙なタイミングで決めたのだ。このまま試合が終了したら、何とチェルシーが勝ち抜けるのだ。果たして後半、どのような対戦が見れるのかワクワクしてきた。

さて、後半が始まった。

いきなりすごい場面が訪れた。開始早々の後半3分、バルサにPKが与えられたのだ。ドログバがセスクをペナルティーエリア内で倒してしまったのだ。これは仕方がない。

キッカーはメッシだ。

しかし、何とメッシが蹴った球はゴールポストにぶつかり、ゴールにはならなかったのだ。

これには、思わず叫んでしまった。

これで、まだ緊迫した状況が続いてくれるのだった。

この試合、前半にテリーがレッドカードで退場しており、チェルシーバルサ相手に10人で戦わなくてはならなかった。

普通に考えたら、ゴールを守りきるのは無理だろう。今のバルサチェルシーでは、かなりの実力差があると思われるからだ。

しかし、チェルシーはそれをやってのけたのだ。

ボール支配率はバルサの70数%と出ていたが、見た感じ80~90%ぐらいに感じるほど、ほとんどバルサがボールを持っていた。それも、ほとんどチェルシーペナルティエリアの枠外の5~10m付近でバルサの選手たちがひたすらパスをしているのだ。後半ほとんどすべての時間、そのエリアだけで試合がなされていた。

チェルシーは、1トップのドログバまでペナルティーエリア内で必死に守っていた。

この光景は、ある意味圧巻だった。

何度も、試合中の両監督の様子が映った。

グラディオーラの焦燥ぶりはすごかった。あんな取り乱したようなグラディオーラを見たのは初めてに思った。

一方のチェルシーの監督も必死に声を出したりしていた。この監督、初めて見たが、歌舞伎役者の市川海老蔵そっくりだなぁと思った。暫定監督らしいが、この歌舞伎役者のような監督がこの試合、相当に注目を浴びることになっていた。

いい働きをしていたと思ったドログバだったが、残り10分となったところで、トーレスと交代した。

トーレスドログバより少し前方に構える感じだった。

しかし、それが功を奏することになったのだ。

試合終了間際のロスタイムに驚くことが起こったのだ。

必死に守っていたチェルシーだったが、いつのまにか最前線に走りこんだトーレスにボールが渡り、GKを交わしゴールを決めたのだ。

これなど、TV中継のカメラも追いつけず、どのようにトーレスにボールが渡ったのかはわからない。しかし、とにかくゴールが決まったのだ。

もうチェルシーの選手の狂喜乱舞ぶりはすごかった。それはそうだろう。こんなことは当事者たちにとっても、信じられないことだろう。

その後すぐに、試合終了のホイッスルが鳴ったのだ。

何と、チェルシーは45分間に渡り、バルサの攻撃を守りきっただけでなく、ゴールまで決めた、いや決めてしまったのだ。

最強だと思われたバルサが敗れるという歴史的瞬間を目の当たりにしたような気がした。

先日のクラシコといい、この試合といい、重要な試合で立て続けにバルサが負けた。

今までここ数年、世界中を席巻し続けてきたバルサだったが、この2つの敗戦を見て、時代に一区切りついたかのような感じを受けた。それだけ衝撃的な敗戦だった。

さて、その翌日、レアル対バイエルンの試合を同じく後半開始からTV観戦した。

こちらの試合は、正直、前日の試合ほど見所はなかった。

前半を終え、2-1でレアルがリードしていた。しかし、このまま終わってしまったらPK戦で決着をつけることになる。それだけは避けたかった。何としてでも、レアルにはバルサに付き合わず、勝ち残ってほしかった。

しかし、後半45分間、そして延長の30分間を通して、両チームともにゴールは決まらず、PK戦に突入してしまった。

PK戦になったらもう仕方がない。

結局、レアルはPK戦に破れ、決勝進出を果たすことができなかった。

バルサが敗れ、天下を取る大チャンスだったので、レアルには勝ち進んでほしかった。

しかし、これが現実なので仕方がない。

この試合、一番感じたのは、カカーのプレーの目を見張る出来の悪さだった。

この試合のカカーは本当にひどかった。中盤なので、カカーにボールが渡ることも多かった。せっかくのチャンスになっても、カカーは一人では何も出来ない。カカーにボールが渡ると、その時点でボールを失うのと同じだった。

途中出場だったが、あまりのひどさ加減だったので、すぐに引っ込めてほしかった。私が監督だったら間違えなく交代させるだろう。しかし、モウリーニョはそのままカカーを使い続けた。

さて、決勝は少し明いて、5月19日にバイエルンの本拠地で、そのバイエルンチェルシーの対戦に決まった。

レアル、バルサに比べると力は落ちると思われるが、バイエルンチェルシーもヨーロッパのトップチームであり名門チームである。

この勝者が、年末に日本に来て、世界W杯に出場する。

その対戦相手はわがサントスになるかもしれないのだ。

レアルが負けてしまったのは残念だが、この2チームも立派な有力チームである。

素晴らしい決勝戦を期待したいと思うのである。