日本対ブラジル チチ ブラジル代表は日本相手に格の違いを見せつけた!

ブラジル代表と日本代表の国際親善試合が、11月10日(金)13:00からフランス北東部のリールで行われた。

まず、キックオフの時間だが、現地では相当な違和感を持って受け入れられているようだ。日本時間で夜9:00、ブラジルの主要都市では朝9:00ということになる。日本ではゴールデンタイムになるが、ブラジル、そして現地フランスでは、観戦するには難しい時間帯である。いくら親善試合とはいえ、フランスリーグで活躍するネイマールをはじめとするブラジル代表の試合はフランス国民も見たいはずだ。

このキックオフ時間の決定には日本側のリクエストが相当に強かったのだろう。

そのおかげで日本在住者にとっては、TV観戦するうえで、これ以上ないほどの時間設定だった。そのため、今回の試合をTV観戦した人はとても多かったと思う。

日本代表のブラジル代表との試合は、ここ数年かなりの頻度で行われている。

2012、13、14年と3年連続で行われているし、フル代表ではないが昨年のリオ五輪の直前にU23(オリンピック代表)のチームで対戦していることは記憶に新しい。

いずれも、日本は1点も取れず完敗を喫している。

なんといっても今回の注目は、監督がチチに変わり大変貌を遂げたブラジル代表に日本代表がどう戦うのかというところだろう。

いつもそうだが、ブラジルと日本の試合を見ることは、これ以上ないぐらいの楽しみだ。

今回の試合も、相当に楽しみながらTV観戦した。

ブラジルの先発は、既に試合前日に予告されていた。

W杯予選の先発メンバーとは特にDF陣を中心に半数ほど異なっているが、特に注目したいのは、右SBのダニーロマンチェスターシティ)だ。

ダニエウ・アウヴェス(パリSG)とポジションが重なり、なかなかポジションを奪えない状況が続いている。2011年サントスでリベルタドーレス杯を制覇し、日本で行われたクラブW杯にも出場し準決勝の柏レイソル戦ではゴールも決めている。その後、ヨーロッパへ移籍し、ポルトを経て昨季まではレアル・マドリッドに所属していたが出場機会に恵まれず今季マンチェスターシティに移籍している。

チチのブラジル代表は、キャプテンの輪番制を採っており、この日のキャプテンはウィリアン(チェルシー)だった。

ネイマール(パリSG)の入場は、ネイマールポジションともいえる一番最後だった。

試合は、いきなり動いた。

開始7分頃に主審が突然試合を中断させた。そして、バックスタンド方向に向かって走っていった。

今回の試合では、VAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)のシステムを採用しておりその映像を見に行ったのだ。

その結果、ブラジルにPKが与えられたのだ。

このVARによる判定には相当に違和感を覚えた。とても唐突に試合が止められたように感じられた。特にブラジルからの抗議によりビデオ判定したわけでもなく、主審の判断によるものだ。そこまでする必要はあるのかと思ってしまった。

そして、そのPKをネイマールが難なく決めてブラジルに先制点が入った。

ブラジル対日本の試合は、いつも早い時間帯にブラジルに決められているが、今回も同じ展開になった。

そして、その数分後にも日本はペナルティエリア内でブラジル選手を倒しブラジルにPKが与えられた。

しかし、ネイマールの蹴った球をGK川島(メス)は弾きPKは失敗に終わった。ネイマールがPKを失敗したのは久しぶりに見た。

しかしながら、その直後のネイマールのCKからこぼれ球を左SBマルセロ(レアル・マドリッド)が豪快なミドルシュートをゴールに突き刺し、2点目が入った。

そして36分には、ブラジルが攻撃を仕掛け華麗なパス交換から、最後はダニーロのクロスをFWガブリエウ・ジェズス(マンチェスターシティ)が難なく左足を合わせ3点目が入った。

鮮やかな電光石火のような高速で、完璧な崩しだった。

前半、日本は何もできず、ブラジルに圧倒されていた。

後半開始と同時に、ブラジルはGKをアリソン(ローマ)からカッシオ(コリンチャンス)に代えた。

カッシオといえば、2012年の日本で行われたクラブW杯でMVPを獲得し、コリンチャンスの世界一に貢献した選手だ。このときのコリンチャンスの監督が現代表監督のチチである。

日本は、FW久保(ヘント)に代え浅野(シュツットガルト)を投入した。

後半、日本も見せ場をつくれるようになり、後半18分CKから槙野(浦和レッズ)がヘッドで決め1点を返した。日本がブラジルから得点を奪ったのは久しぶりだ。

その後、惜しいシーンもいくつかあったが、結局両者ゴールを奪えず、3-1でブラジルが勝った。

まずブラジルの強さだが、一人ひとりが真剣に走っていた。また、守備の意識は相当に強かったのではないだろうか。

特に、ガブリエウ・ジェズスのチェイシングには目を見張るものがあった。すごくスピードもあり、最前線から前後左右の相手をかなり追い求めていた。これは相手選手には相当な脅威だろう。

そして、ネイマール酒井宏樹マルセイユ)のマッチアップは相当な見ごたえを感じた。

この2人のマッチアップは何度目になるのだろうか?

現在、同じフランス リーグアンで対戦もしているが、最初は2011年のクラブW杯でのことではないだろうか?当時ネイマールはサントス、酒井宏樹柏レイソルと所属先は違うが、同じポジションで相当に対峙していたのを思い出す。お互いにゴールを決めているので、その当時のことはお互いに印象深い思い出だろう。ネイマールもそうだが、酒井宏樹も相当に成長していると思う。

そして、最後は、注目していたダニーロについてだ。

ボールにも相当に触っており、右SBとして十分な活躍をしてくれていたと思う。ガブリエウ・ジェズスの3点目のアシストも決めており、本人としてもなかなかの達成感を得ることはできたのではないだろうか。

後半途中から、左SBがマルセロからアレックス・サンドロ(ユベントス)に代わり、ダニーロとアレックス・サンドロが同じピッチに立った。ダニーロとアレックス・サンドロは、サントス、そしてポルトで両SBとしてチームメートとしてともに戦ってきた仲間だ。

後半終了間際には、ダニーロの右からの決定的なクロスをアレックス・サンドロがヘッドでゴールを狙ったが、惜しくも枠の外に外れたのは本当に惜しかった。

この2人にはそれぞれに、マルセロ、ダニエウ・アウヴェスという越えなければならない絶対的な存在がある。相当の逸材だと思っているので、是非とも頑張ってほしい。

日本については、後半ゴールを決めいくつかの見せ場はつくっていたが、相当に物足りなさは感じた。

今回の先発メンバーを見て、本田、香川、岡崎は外れているが悪くないと思ったが、ほとんどアピールできた選手はいないのではないだろうか。

個人的には、本田、香川、岡崎も含めて、ベストメンバーを探ってもよいと思うが・・・。

日本代表については、次のベルギー戦をどう戦うかに注目していきたいと思う。