女子マラソン サンボドロモ発着の風光明媚なコースだったが日本人選手は惨敗だった!

14日(日)午前9:30(日本時間同日午後9:30)、女子マラソンが行われた。

私自身、趣味としてマラソンを走っているということもあるが、その街の様子がよくわかるので、マラソンを見るのはとても好きだ。

以前なら、日本人にとってマラソンは男女ともにとても強い種目だった。

特に女子では、2000年のシドニー、2004年のアテネと2大会連続で金メダルを獲得していたが、その後の北京、ロンドンではメダルはおろか入賞も果たしていない。

今大会の代表は、昨年の世界選手権で7位入賞を果たした伊藤舞、そして、国内選考会で選出された福士加代子、田中智美の3選手だった。

特に、福士はマラソンでは始めてだが、オリンピックにはトラック競技の代表としてアテネ、北京、ロンドンと3大会連続で出場しており、また大胆な発言もあり、どのような走りを見せてくれるか注目していた。

さて、楽しみのマラソンコースだが、よく考えて設定されていたと思う。何と、スタートとゴールは、サンボドロモなのだ。

サンボドロモとは、リオのカーニバルの会場だ。リオのカーニバルは、世界的に有名だが、特設会場でなされていることはあまり知られていないだろう。以前は、公道で行われていたが、安全面から特設会場であるサンボドロモで行われるようになっている。

このサンボドロモは、ブラジルを代表する建築家オスカル・ニーマイヤーの設計で、私も、ブラジル在住中の2007年に一度、ここにカーニバルを見に来ている。あまりのスケールの大きさに圧倒されたことをよく覚えている。

そんな、リオデジャネイロの代名詞、リオのカーニバル会場のサンボドロモをオリンピック競技の会場にしてしまうのだから粋な計らいだと思う。マラソンとアーチェリーの会場になっていた。

今回のマラソンコースは、そんなサンボドロモを発着地点とし、セントロ(旧市街)を通り、グロリア湾沿いに周回を3周して、再びサンボドロモに戻ってくるコースである。

発着地点はとてもよいが、せっかくなので、3周の周回をするのではなく、随一のビーチであるコパカバーナまで行くぐらいのコースにしてもよかったかなとも思った。しかしながら、今回のグロリア湾沿いの周回コースでは、キリスト像で有名なコルドバードの丘に次ぐ人気スポットである砂糖のパンという意味を持つポンジアスーカルを正面に見ながら走ることができた。これはこれで素晴らしい景色だと思った。

さて、レースは序盤30人ほどの先頭集団を形成し、日本人選手3人もその中に含まれていたが、9キロ地点ほどで、先頭グループは2つに分かれ、日本人選手は後方グループに含まれてしまった。

その後、伊藤が遅れ、福士は一旦先頭グループに追いつくが、先頭グループをキープすることができず、遅れ始めた。

結局日本人選手たちは、そのまま先頭集団に戻ることはできず特に見せ場もなく、福士が14位、田中が19位、そして伊藤は44位という結果に終わった。

表彰台はアフリカ勢が占めた。

今回も残念ながら日本人選手は入賞することはできなかった。

レースを終えた選手たちのインタビューを聞くと、「とにかく暑かった」ようだ。

リオは暑いには暑いが、今、季節は冬だ。日本の夏に比べると、まだましな感じはするが、太陽の日差しはとても強いものがある。それが、ボディーブローのように体にダメージを与えたのだろう。

1~4位はアフリカ勢が占めたが、5位にベラルーシの白人選手、そして6、7、9位にアメリカの白人選手たちが入った。

この結果を受けて、日本人選手たちもやりようによっては、十分に入賞は狙えたのではないかと思った。

せめて、ある程度までは、先頭集団についていけるレース運びをしてほしかった、というのが正直なところだ。

しかし、強烈なプレッシャーの中でこの舞台に立っているのだ。3人ともに無事に完走できたことは、ホッとしたことだろう。

最後に1点、大会運営上、気になったことについて述べたい。

あまりにコースへの乱入者が多く現れたことだ。

ブラジルでは、国際的なマラソン大会をほとんど開催していないので、ブラジル国民にとって、マラソン競技がどういうものかわかっていない部分もあると思う。しかし、乱入者の行動は一歩間違えると大変なことになる。警備の警察官が、すべて排除していたが、あまりにその姿が目立ち、ハラハラさせられた。最終日には男子マラソンもあるし、防犯対策は今一度見直したほうがいいように感じた。

さて、次のオリンピックは、4年後、地元、東京開催となる。

かつては、お家芸と言われたマラソン競技。何とか、意地を見せられるような戦いが繰り広げられるよう、しっかりとした育成が必要だと感じた。