ブラジルで一番サッカーが盛り上がる日。5月3日は州選手権優勝決定戦がブラジル全土で一斉に行われ、サントスは今年初のタイトルを獲得した!

さて、早くも5月に入り、日本のJリーグも佳境に入ってきたが、ブラジルでは5月3日(日)は、ブラジル中がサッカーで最も盛り上がる日だった。

ブラジル国内では、大きく2つの選手権が行われる。

1月下旬から5月上旬に各州の選手権が、そして5月中旬から12月上旬に国内全国レベルでのブラジル選手権(通称ブラジレイラォン)が行われる。

ブラジル選手権は、有力なチームしか出られないので、出場しているチームはサッカーが盛んなサンパウロリオデジャネイロ、ベロオリゾンチ、ポルトアレグレなど一部の都市に集中し、多くの田舎町などのチームは、出場していないことが多い。

その点、州選手権はブラジル全土の各州で州ごとに大会が行われるため、ほとんどの地元のチームが出場し、ブラジル全土の国民が一斉に盛り上がることができるのだ。

また、全国選手権よりも各州の選手権のほうが歴史も古いこともあり、各チームにとって州選手権のタイトルもかなり重要視されている。

その各州選手権の決勝はほとんどの場合、ホーム&アウェイで行われ、そして一斉に、5月の第一日曜がそのセカンドレグ、つまり優勝が決まる日なのだ。

そのため、今年でいうと5月3日(日)が、ブラジル全土の各地で、それぞれの州選手権での決勝戦が行われるので、ブラジル中で最もサッカーが盛り上がる日になるのだ。

今年の主な州選手権での決勝戦の組み合わせは、サンパウロ州はサントスとパウメイラス、リオデジャネイロ州ではヴァスコとボタフォゴミナスジェライス州ではアトレチコミネイロとカウデンセ、そしてヒオグランジドスウ州ではグレミオインテルナシオナウ、そして私が住んでいたバイーア州ではバイーアとヴィトリアダコンキスタといった感じである。

それぞれの地区で、それぞれの決勝戦がTV中継されるが、私はサントス対パウメイラスのサンパウロ州選手権の試合をTV観戦した。

ブラジルのサッカーの試合を観るのは本当に久しぶりになる。

サントスとパウメイラスの対戦で、サンパウロ4大チーム同士の対戦になった。

サントスは私のひいきのチームだが、パウメイラスは昨年クラブ創立100周年を全国リーグで降格ギリギリのところでなんとか一部残留していたが、監督に鹿島などでも指揮を執っており昨年はサントスの監督だったオズワルド・オリヴェイラを監督に招聘し、立て直しに成功したようだ。パウメイラスには、サンパウロ州選手権でも決勝まで残ったことはほとんど記憶にないが、記録を見てみると2008年に優勝している。まあ、その年ぐらいで、近年あまりぱっとした成績は上げていない。

しかし、今年のメンバーを見ると、2006年のW杯メンバーでもあるゼ・ホベルトがキャプテンとしてチームを引っ張っており、10番は相変わらずチリ人のヴァルジーヴィアだった。また、GKには長年ヴァスコで活躍していたフェルナンド・プライスが出ていた。ほかにも、この日には出ていなかったが、長年サントスで活躍していたボランチのアロウカがパウメイラスの選手になっていたことについてはちょっとショックを受けた。また、ハファエロがイタリアのナポリに移籍して以来サントスの守護神だったアラーニャまでパウメイラスに行っている。相当、オズワルド・オリヴェイラが引っ張っていったことが伺える。

一方のサントスは、目玉はなんといってもホビーニョだが、それ以外には私の馴染みのある選手はほとんどいなかった。去年大ブレークしたガビゴウはまだいるようだが、残念ながらこの試合に出ることはなかったし、サントスで一時代を築いたエラーノも今季からサントスに復帰したようだが、試合に出ることはなかった。

決勝トーナメントは、ホーム&アウェイで行われ、前週のファーストレグは両監督が退場になるなど相当荒れた試合だったようだが、パウメイラスが1-0で先勝していた。

さて、この日のセカンドレグは、サントスのホーム、ヴィラ・ベウミーロでの試合だった。私もよく観戦に行った思い出深いスタジアムだ。ホームのサントスとしては負けられない。

久々に見たブラジルのサッカーだが、かなり自分で持っていこうとする姿勢が目に付いた。日本のJリーグなどに比べると、やはり個人技を多用していることがわかる。Jリーグと比べても相当積極的に映り、やはり見ていておもしろいと改めて思った。

サントスは、ホビーニョの2アシストで、前半2-0で折り返した。後半にパウメイラスに1点返され、2戦合計で2-2となり、決着はPK戦で決めることになった。アウェイゴールはなく、延長戦もなかった。

PK戦では、二人が外したパウメイラスとは対照的にサントスは全員が決め、サントスの優勝が決まったのだ。

ひいきのサントスが優勝を決めてくれ、久々に喜びを味わった。

もう大ベテランの域に入っている久々に見たホビーニョだったが、かなりの存在感だった。この日の活躍もあってか、5月5日に発表されたコッパ・アメリカ(南米選手権)の代表にも選出された。

サントスは、2010年から2012年にかけて3連覇を果たして以来の21回目の優勝になる。

私がブラジルにいた2005年~2012年では、2006、2007、2010、2011、2012年に優勝しているので、ここ10年間で6回優勝していることになり、サントスにとってかなり縁のある大会のようだ。

さて、他の有力な州では、リオデジャネイロ州ではヴァスコが、ミナスジェライス州ではアトレチコミネイロが、ヒオグランジドスウ州ではインテルナシオナウが、そしてバイーア州ではバイーアがそれぞれ優勝を決めた。

この日は、それぞれの州でそれぞれの地域で決勝戦が行われ、ブラジル各地のサッカーファンたちが熱狂した一日になったことだろう。

さて、そんな熱狂の日曜日から1週間後のこの週末からいよいよブラジル全国選手権が始まる。

今年は6月からコッパ・アメリカもあるし、ブラジルサッカーにはますます目が離せない。