第8節清水対山形 残念な清水エスパルスの結末だったが、大榎監督を応援したい!
久しぶりの記述になる。
ブラジルサッカーレポートというタイトルだが、ブラジルを離れて4年になり、生で観れる試合はどうしても日本のJリーグが中心になってしまう。
私は、ブラジルに行く前の2005年までは清水エスパルスを応援していたが、2012年に日本に帰国し、横浜に住むようになったのと、最初に観に行った三ツ沢での横浜対セレッソの試合で、日本のJリーグ、横浜マリノスの試合もなかなかおもしろいな、と思い、それ以降、去年までは横浜マリノスの試合を中心に観ていた。
しかし、去年の日産スタジアムで観た横浜マリノス対清水エスパルスの試合を観て、エスパルスのサンバのリズムの応援隊を目の当たりにして、再び清水エスパルスに心が動かされた。
それ以降、Jリーグでは清水エスパルスを中心に観るようになった。
これはブラジルにいるときからの信条であるが、できる限り生観戦、ということで、今はどうしてもJリーグしか生観戦できない。
ということで、このコラムのタイトルはブラジルサッカーレポートであるが、Jリーグについても積極的に書いていきたいと思う。
ブラジルサッカーについても、TV中継などで情報は入ってくるので、その都度書いていければと思っている。
さて、4月29日、午前中は個人的にマラソン大会に出てきたのだが、午後、エスパルスの試合をTV観戦した。
今年はスカパーのJリーグパックに入ったので、全試合生中継で見れるのだ。これはうれしい。
さて、急いで帰ってきて、2時5分ごろに家に着いた。キックオフは午後2時で、ちょうど家に着いたら、前半4分ぐらいでちょうどエスパルスにゴールが決まったところだった。
この日の相手はモンテディオ山形。J2から昇格したばかりのチームだ。
今、エスパルスはリーグ戦6連敗中と最悪な状況だ。前試合も後半だけ見たが、全然だめで、壊滅的な状況だった。
しかし、この日の試合はかなりよかった、と思った。しかし途中までだ。
まずシステムを変えてきた。3バックだ。これは、サッカーをやっている中学生の長男が前々から言っていたことだった。SBが弱すぎるのでCBを3人並べる3バックにしたほうがよいと。その通りにしたら、見事にはまったようだ。
システムは3-1-4-2。これはよかったと思う。
メンバーもだいぶ変えてきた。けっこうはまったようだった。
その後も2点加点し、前半を終え、3-0でエスパルスがリードしている。この時点では楽勝だと思っていた。
今までの試合でも唯一の期待を抱かせてくれていた村田が欠場していたが、村田なしでも勝てるじゃん、とか思ったりしていた。この時点では。
しかし、結果的にこの試合は、衝撃的な結末が待ち受けていた。
前半の途中から、急に機能しなくなってきた。
一つには、2列目に入れていた八反田を1列下げて2ボランチにしたことだ。八反田はそれまで前線で流動的に動きチャンスを数多く作っていたが、急激にチャンスが作れなくなった。
後半はほとんどチャンスらしいチャンスはなかった。しかし、山形も決してよくはなかったが、徐々に押し込まれることが多く、何とかしのいでいたが、後半40分にゴールを決められてしまった。
ゼロで抑えてほしかったので非常に残念だと思ったが、この時点でまだ2点リードがあった。
しかし、流れはまったく変えることができず、44分、ロスタイム4分にゴールを決められ、勝つことができなかったのだ。
一緒に見ていた長男が言っていたが、1点差で勝っている終了間際はプレーしている者としては非常につらいそうだ。選手全員の意思統一を図ることがとても難しく、守っていても本当に大変だと言っていた。
このときのエスパルスはまさにそんな状況だったのだろう。
さすがに3点決められたときには、ウソだろ、と思った。まさに悪夢だ。
ここまで運に見放されなくてもいいのに、とさえも思ってしまった。
さすがに、スタジアムに押し寄せたサポーターも不満を募らせていた。さすがにブーイングを浴びせていた。
3-0から3点差を追いつかれた例としては、2005年のチャンピオンズリーグの決勝が思い出される。リバプールが後半3点を返し、結局PK戦でミランがリバプールに負けた。
あとは、同じような衝撃として、2006年のW杯の日本対オーストラリア戦を思い出される。後半終了間際に立て続けに3点入れられた展開はまさに同じだ。
この結果については、おそらくエスパルスファン以外は大喜びだろう。当事者以外にとってはジャイアントキリングは爽快だろう。しかし、エスパルスファンにとってはたまったものではない。
まあ今のエスパルスはとてもジャイアントとはいえないかもしれないが・・・。
本当に弱いというか、端的にいえば、運がない。
試合終了後も、TV中継では、山形の選手、監督にばかりインタビューして、一向にエスパルスの選手、監督の声を聞かせない。日本は甘いな、ブラジルなら容赦なしに両者のインタビューを取るがと思っていたら、監督の大榎のインタビューが始まった。
このインタビューを聴き、私の気持ちは大きく変わっていった。
それまでは、原因は監督ではないかもしれないが、これだけ勝てないということに対してけじめをつけるためには、監督を解任するべきだと思っていた。ブラジルならとっくに解任されていただろう。6連敗しても解任に動かないなど考えられない。
ブラジルはおもしろい国で、すぐ監督を解任する代わりに、解任された監督が解任された次の週には違うチームに就任しているということが山のように行われている。シーズン中に2,3人監督が変わることなどざらなのだ。
そんな状況に慣れていたら、今回のエスパルスについてはなんとも悠長だなぁ、と思ったりしていた。
大榎の言葉は、誠実そのものだった。
自分の思ったことを隠すことなく正直に言葉に出している感じだった。
なかなか、これだけ自分の思っていることを正直に誠実に言葉に表すということは、監督としてあまりないだろう。新鮮に映った。
そんな大榎の言葉に、この人の素晴らしい人間性を感じ取った。
実際、チームが不振に陥ると監督を解任することで解決を図ることが多いが、実際には監督の采配が悪いとは限らない。正直、結果は運によるところも大きいと思う。
しかし、サポーターも誰もが何か行動に移さなければ収まりがつかないので、一番手っ取り早い方法である監督を解任するということで片を付けるのだ。
実際、大榎の采配はどうなのかはわからない。
しかし、この日の前半に見せた戦いぶりには目を見張るところがあった。
システムを変え、メンバーも一新させて、成果を出した。
結果的に勝てなかったが、前節まで箸にも棒にもかかっていなかった状態から、目を見張る状態にさせたことは紛れもない事実だ。勝ちきれなかったことで結果は出せなかったが、少なくとも前節までまったく見られなかった手ごたえを感じることはできたはずだ。
これはポジティブに捉えてもいいと思う。
私は、このインタビューを聴いて、大榎を応援したくなった。
現状では、いつ解任されてもおかしくないだろう。
だからこそ、今まで以上に応援したいと思う。
この勝ちきれなかったという衝撃は、チームにとって非常に大きいだろう。しかし、切り替えて次からの戦いに備えないといけない。スケジュールは待ってくれないのだ。
チーム一丸となって、なんとか結果を出してほしいと思うのである。