準々決勝第2戦サントス対ヴェレス サントス、PK戦の末何とか4強入りを果たす!

先週の木曜日、5月24日のことである。この日の夜8時からサントスのリベルタドーレスの準々決勝第2戦がサントスのホーム、ヴィラ・べウミーロで行われた。

木曜日は、長男がサッカーを二つ行っている日だ。この日、妻は日本人旅行者のアテンドが終日入っていたので、二つとも私が連れて行った。

長男のサッカーを終え、午後7時半前に帰宅し、子供たちと一緒にシャワーを浴び、日本の両親と連絡を取らなければならない用件があったのでスカイプで話していたら、あっという間に試合開始の8時になってしまった。

さて、この日の試合は、サントスにとって本当に重要だった。何よりも前週の第1戦、アウェイでの戦いで1点も挙げることなく敗れていたのだ。それも内容的に見ても、完敗だった。その前の決勝トーナメント1回戦対ボリヴァル戦でも、サントスはアウェイの第1戦を1-2で落としていたので、状況としては同じように見えるかもしれないが、実状は大きく違っていた。

この決勝トーナメント1回戦のときは、標高3800mという敵も存在しており、内容的には決して悪くはなかった。しかし、今回の準々決勝の第1戦は、標高差に関係なく、単に負けただけでなく内容があまりにも悪かったのだ。

だからこそ、この第2戦はどんな試合になるのか?サントスは、本当に相手ヴェレスよりも実力差で相当に劣っているのか?それとも、慣れ親しんだホームでは見違えるパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみでもあった。

しかし、不安材料が一つ増えた。なんと、ガンソがまたも膝を故障したというのだ。この試合には強行出場するが、試合の翌日の金曜日に手術を行うという。手術が必要ということは、相当重症なのだろう。

ガンソは本当に怪我ばかりだ。それも、いつも膝なので、完治していないのかもしれない。ラジオのニュースでは、「メニーノ・ヴィドロ(ガラスの少年)」と言われていた。

せっかく、この試合の直後の週末から始まるセレソン4連戦のメンバーに選ばれていたが、それも辞退せざるを得ないことになってしまった。

この日のサントスの先発メンバーは、前週の第1戦とまったく同じだった。

さて、試合は始まった。

いきなり開始1分、サントスに絶好のチャンスが訪れた。ネイマールが倒され、かなりいい位置からのFKを得たのである。エラーノの蹴った球はきれいにゴール前に入り、エドゥー・ドゥラセーナが合わせたヘディングは惜しくもゴールの少し脇をすり抜けていった。本当に惜しいチャンスだった。

しかし、その後も完全に、サントスのペースだった。前週の試合が嘘のように、この日のサントスは普通に攻めることが出来ていた。前週、同じ相手にまったく手も足も出ないような状態だっただけに、少しは安心できた。

これは、ブラジルのチーム全般にいえることかもしれないが、サントスは特に、不思議なほどにホームとアウェイでは、見違えるほどパフォーマンスに差が出る。日本ではほとんど感じたことはないが、日本でも国際大会などになるとそうなのだろうか?

とにかく、前週に私が感じた、「サントスのスピードが遅くヴェレスが速い」ということは、まったくといっていいぐらい感じなかった。それは、いつものサントスの試合のように、サントスがほとんどボールをキープして試合を進めていたからだ。

その後、前半40分に、相手GKがペナルティーエリア少し外でネイマールを倒した。そこで相手GKにはレッドカードで一発退場となった。これは、ネイマールが倒されていなければ、おそらくネイマールは決めていただろうから、残念という気持ちもあったが、相手が控えのGKに代わり、人数も一人少なくなったので、サントスが有利になると思われた。

しかし、攻めに攻めるが、どうしてもフィニッシュが決まらない。

ほとんどピンチらしいピンチもなかったので、点数を取られる感じはしないのだが、サントスもそれこそ数あるチャンスをまったくものに出来ないでいるのだ。

そうこうしているうちに、後半の30分が経過してしまった。

これは、ここで終わりかもしれないな、そうしたら、コリンチャンスに頑張ってもらうしかないな、と本気で思ったりしていた。別に絶望的な感じではなく、不思議と落ち着いた気持ちでそう思ったのだ。

しかし、その直後の後半33分に、サントスはゴールを決めてくれたのだ。

ガンソから、途中出場の左SBレオにつなぎ、レオは倒れながらも、走りこんできたアラン・カルデッキに流し、アラン・カルデッキが見事にゴールを決めたのだ。

これには、私も大声で「ゴーーール!」と叫んでしまっていた。

本当に、今シーズンのアラン・カルデッキはいい仕事をしてくれる。ガンソも故障していることをまったく感じさせず、いつもと同じようにプレーできていた。大ベテランのレオも頼りがいがある。

これで、1-0になった。2試合合計で1-1である。このままだと、延長なしでPK戦ということになる。できるだけそれは避けたかったのだが、サントスはもう1点が奪えず、決着はPK戦に持ち込まれることになった。

PK戦になったら、仕方がない部分はある。しかし、サントスには何としても勝ち抜けてほしかった。

TV中継の実況者が興奮して、キッカーとその順番を言った。サントスは、アラン・カルデッキ、ガンソ、エラーノ、レオ、そして5番目にネイマールという順番だった。

ヴェレスが先攻だった。

ヴェレスの一人目は、GKハファエロは方向を読んだが、ハファエロが跳んだ下をボールはすり抜けていった。

サントスの一人目は、アラン・カルデッキだ。決めてくれた。まず、ホッとした。

ヴェレスの二人目は、上方に外してくれた。

サントスの二人目、ガンソは落ち着いて決めた。

ヴェレスの3人目は、ハファエロが見事に弾いた。ハファエロにはやってくれそうな雰囲気があったが、見事にやってくれたのだ。

これで、かなり優勢になった。

3人目は、エラーノだ。エラーノといえば、去年のコッパ・アメリカの対パラグアイ戦のPK戦でとんでもなく高く蹴り上げて失敗したイメージが強いが、私は頭の中でその記憶を無理やり消去した。そんなエラーノは落ち着いて蹴り、左方向に決めてくれたのだ。これには、本当にホッとした。

後がなくなったヴェレスの4人目は決めた。

サントスの4人目はレオだ。これをきちんと決めてくれ、サントスの勝ち抜けが決まったのだ。

本当に、大変な試合だった。運の部分が強いPK戦を突破することができたのだ。一時は、ここで夢尽きるかと思っただけに、この勝利は感慨無量に近いものがあった。

私は、ブラジルに来て以来、サントスの試合は相当数見ているが、サントスのPK戦を見るのは、今回が初めてである。サントスの選手たちがPK戦を戦っている姿を見て、何だか、非常に不思議な感じがした。

初めて見たサントスのPK戦は、全員成功だったのだ。

さて、これでサントスは、何とか4強入りを果たした。

次の対戦相手は、何とコリンチャンスなのだ。

準々決勝は、この日に2試合、そしてその前日5月23日に2試合が行われており、23日には、試合を行った4チーム中ブラジル勢3チームが出場していた。まず、夜7時30分からフルミネンセがアルゼンチンの超名門ボカと、そして夜10時からコリンチャンスとヴァスコのブラジル勢の対戦だった。

まず、最初の試合をTVをつけて、ながらで見ていた。私は、フルミネンセが嫌いなので、ボカに勝ってほしかった。フルミネンセは、サントスと同様アウェイの第1戦を0-1で落としている。勝ち抜けるためには2点差での勝利が必要だ。幸先よく、前半の早い時間帯に1点入れていたが、終了間際にボカがゴールを決め、グループリーグ全体で1位の成績だったフルミネンセは8強止まりだったのだ。そして、コリンチャンス対ヴァスコ戦。こちらは、真剣に見るつもりで、ソファに座って見始めた。第1戦は0-0、第2戦もまったくスコアに動きがなく、残り5分を切った。TVの実況もPK戦がまもなく始まると言っていた矢先の後半43分にコリンチャンスのゴールが決まったのだ。CKからセレソンにも選ばれたボランチパウリーニョが頭で決めたのだ。劇的な幕切れだった。

準決勝のもう1試合、ウニヴェルシダッジ(チリ)対リベルタッド(パラグアイ)は、見ていなかったのだが、PK戦の末、ウニヴェルシダッジが4強入りを決めていた。

その結果、準決勝は、コリンチャンス対サントスとウニヴェルシダッジ対ボカという組み合わせになったのだ。

今まで、毎週のように試合日程が組まれていたが、セレソンの試合が行われることもあり、次の準決勝は丸々2週間空く。つまり、次の試合、準決勝第1戦が行われるのは、3週間後の水曜日もしくは木曜日、6月13日もしくは14日ということになるのだ。ここで一息つけることは、いいと思う。

それにしても、ブラジルで生き残っているのが、サントスとコリンチャンスというのは嬉しい限りだが、出来ることなら決勝で対戦してほしかった。これで間違いなく、サントスかコリンチャンスは決勝に進出することになるのだ。

リベルタドーレスは、4チームに絞られた。

タイトル獲得まで、あと4試合である。サントスの雪辱を晴らす戦いは、まだ続くのである。