決勝を控えて思うこと

いよいよ、あと数時間後にチャンピオンズリーグの決勝が始まる。こちらの時間で、土曜日の午後3時45分からである。

ここブラジルでも、ヨーロッパで活躍するブラジル人選手も多く、ヨーロッパのサッカーは人気がある。特に強豪中の強豪が戦いあう、チャンピオンズリーグはサッカー好きの間では、かなり注目度が高いのである。

当初、この試合、私はリアルタイムで見れない予定だった。というのも、この日(この週末)からブラジルでは、ブラジル選手権1部リーグが開幕し、私の応援するサントスが私の地元サルヴァドールで地元チームのバイーアとこの日に試合が行われる予定だったからだ。

年に1度、我が街にサントスが来て試合をするのは毎年のことだが、それが開幕戦とは何ともいえない感慨深いものがある。チャンピオンズリーグ決勝のTV観戦も楽しみだが、私にとっては、やはりそれ以上にサントスの生観戦のほうが優先順位は高いのである。

しかし、ありがたいことに、急遽、サントスの開幕戦の日程が日曜に変更になってくれたのだ。これには本当に喜んだ。要因は、サントスもバイーアも直前の木曜に試合が組まれることになったので、さすがに中1日では厳しいということになったのだろう。木曜日、サントスは、ブエノスアイレスリベルタドーレスの準々決勝を、そしてバイーアは地元サルヴァドールでコッパドブラジルのこれも準々決勝を戦ったばかりなのだ。

それ以外にも、長男のサッカーの試合も、当初土曜日の午後の予定だったのが日曜日の午前に変更になってくれた。

ということで、何にも邪魔されずに、リアルタイムで見ることができることになったのだ。

さて、今年の決勝の対戦カードは、チェルシーバイエルンになった。そして、会場はバイエルンのホームで行われるのである。バイエルンにとっては、悲願の地元での決勝進出だろう。

私にとって、この2チームは、それなりに思い入れがある。

私は、ブラジルに来る前は、ブラジルには何の縁もゆかりもなく思い入れもなく、なんとなくドイツが好きだった。

1998年に一人でオーストリアハンガリーに自由旅行に出かけた際、航空機の乗り継ぎ場所だったマレーシアのクアラルンプールで半日ぐらい街歩きをしたのだが、そのときクアラルンプールの青空市場でなぜかバイエルンのユニフォームを買い何度かその旅行中着たりしていた。

その後も、2007年に一時帰国した際に御殿場のアウトレットに行き、なぜか理由は覚えていないのだが、このときアディダスショップでバイエルンの赤いポロシャツも買っていたのだ。

そして、昨年2011年11月にドイツサッカー観戦旅行を企て、当然CL決勝の地であるアリアンツ・アリーナバイエルンの試合を観ることを計画していた。しかし、この旅行は幻で終わってしまい、実現はしなかったのだ。

一方のチェルシーについては、2010年10月にロンドンに行った際に当日券を求め、ホームスタジアムのスタンフォード・ブリッジまで行ったのだが、残念ながらチケット完売のため試合観戦はあきらめたことがあった。

また、それぞれ数年前に決勝で敗れた試合も印象的だ。

2008年、チェルシーマンチェスター・ユナイテッドにPK戦の末敗れている。そのときは、テヴェスがいたのでマンUを応援していてその結果に喜んだのが、あまりに劇的な幕切れだったので、翌年はチェルシーにも頑張ってほしいと思ったものだ。

そして、2010年、バイエルンインテルに2-0で負けた。この年から、決勝が土曜日に変わったおかげで一部始終見ることができたのだが、私はこの試合を見て、サッカーには何と理不尽なことがあるのかと思ったのだった。今見たら見方は若干違うのかもしれないが、そのときは、どう見てもバイエルンのほうが攻撃の形をつくることができ、いいサッカーをしていると思えたのだ。このとき、ロッベンを桁違いにすごい選手だと思った。あのスピードは誰にも止められないと思った。ボール支配は圧倒的にバイエルンに思えた。そんな中、ワンチャンス、ツーチャンスをインテルはカウンターで決めてしまい、優勝してしまったのだ。当時の私は、インテルバイエルンに比べて途轍もなく弱く見えた。そんなチームが泥棒のように優勝をかっさらったように思え、それ以来インテルが嫌いになったのだ。

そんな、私にとっての両チームである。過去の思い入れの具合からして、バイエルンに肩入れしそうなものなのだが、違うのだ。

今回は、チェルシーを応援しようと思う。というのも、あまりに準決勝第2戦、対バルサ戦でのインパクトが強く、チームとしての団結力に感動させられたからである。

今まで、それほど注目していなかったのだが、ドログバの存在感あるプレーには魅せられそうだ。

他にも、ランパードやハミレス(ラミレス)、アシュリー・コールなどいぶし銀を感じさせるプレーにも感銘を受けさせる。ただ、ハミレスがこの決勝に出られないのが残念でならない。

さて、この試合、我が街サルヴァドールでは、映画館で3Dで生放送されるらしい。それを知った長男は、「シネマで見たい!」と言っていたが、映画館の暗い空間で見る気は起こらない。近くのBarか、自宅でのんびりビールなど飲みながら、叫びながら見る、というほうがいい感じがする。

結果も大事だが、十分に楽しみたい。

今から、非常に楽しみである。