決勝第1戦グアラニ対サントス サントス快勝し、今年初のタイトルに向けてかなり有利な状況になった。

5月6日日曜日、この日はブラジル各地で州選手権の決勝の第1戦が行われた。ほとんどの有力な州で、この日と次の日曜日5月13日の2日間でホームアンドアウェイの決勝戦が行われるのだ。

有力チームが揃うサンパウロ州では、サントスとグアラニが決勝に進んだ。

サントスは、順当だろう。しかし、グアラニはちょっと意外な感じもしてしまう。

グアラニは、サンパウロ市から約120キロ離れたカンピーナス市をホームとするチームであり、ブラジル選手権では2部に属するチームである。

サンパウロ選手権では、G4と呼ばれるサンパウロコリンチャンス、パウメイラス、そしてサントスの4大チームが圧倒的に格上で、次にグアラニポンチプレッタサンカエターノのようなブラジル選手権2部のチームが続く。そしてそれ以外は、ブラジル選手権3部以下のかなり力量で劣るチームで戦われるのである。

昨年は、リーグ戦でも1位~4位に4大チームが入り、決勝トーナメントでも順当に4大チームがベスト4に入った。そして決勝は、コリンチャンスとサントスのカードが組まれ、サントスが優勝したのだった。

しかし、決勝戦では、このように4大チーム同士の対戦のほうが珍しいかもしれない。一昨年は、サントスとサントアンドレの対戦だったし、2007年には、サントスとサンカエターノの対戦であった。

今年のグアラニは、リーグ戦を4位の成績で収め、決勝トーナメント1回戦で5位だったパウメイラスを破り、準決勝では、決勝トーナメント1回戦でリーグ戦1位だったコリンチャンスを破ったポンチプレッタを破り、見事に決勝進出を決めたのだった。

グアラニにとっては、おそらく初めての決勝進出ではないだろうか?

今年の決勝戦は2戦ともにサンパウロのモルンビー・スタジアムで行われることになった。1戦目がグアラニのホーム扱い、2戦目がサントスのホーム扱いでアウェイゴールも換算される。

このルールは、毎年のように変わっている。去年は純粋にそのチームのホームアンドアウェイで行われた。コリンチャンスのパカエンブーとサントスのヴィラ・べウミーロであり、アウェイゴールは換算されなかった。

一昨年は、2戦ともパカエンブーで行われたし、2007年は2戦ともモルンビーで行われた。

まあ、サントスにとっては、絶対的な勝率を誇るヴィラ・べウミーロで行われるのが一番だが、準ホームともいえネイマールの強さが光るパカエンブー、そしてモルンビーでもそれなりの戦績を得ているので、その3スタジアムならどこでも相性的には問題ないといえるだろう。

そんな状況で、他州選手権と同様、午後4時にキックオフされたのだ。

サントスの先発は、以下のとおりだった。

GK:アラーニャ Aranha(1)

CB:右エドゥー・ドゥラセーナ Edu Dracena(2)

  左ドゥリヴァウ Durval(6)

SB:右エンヒーキ Henrique(4)

  左フアン Juan(3)

ボランチ:右アドリアーノ Adriano(15)

     左アロウカ Arouca(5)

MF:右エラーノ Elano(8)

  左ガンソ Ganso(10)

FW:右アラン・カルデッキ Alan Kardec(9)

  左ネイマール Neymar(11)

レギュラーGKのハファエロは、先週の準決勝、対サンパウロ戦での負傷のためだろう。そのため、控えのアラーニャが先発だった。それ以外ほぼベストメンバーといえるだろう。

対するグアラニは、知っている選手は、元サントスのCBのドミンゴスだけだった。

この日も、サントスはアウェイということで、きれいな水色のユニフォームで登場した。

サントスにとって、いくら格下相手とはいえ、決勝戦である。第1戦とはいえ、とても重要な試合だ。そのため、試合開始からかなり緊張した面持ちでTV観戦していた。

圧倒的にサントスは攻めるがなかなかゴールが決まらない。そんな中、前半42分、左サイドを突破したネイマールが中央にパスを流し、ペナルティーエリア内でアロウカがポスとプレーのような形で相手DFを背中で交わし、その折り返した球を中央からガンソがきれいに決めてくれたのだ。待望の先制点だった。ゴールを決めた後、ガンソはオーケストラの指揮者のようなパフォーマンスをしていた。まさに自分がフィールドにおける指揮者であるかのように・・・。

そして、後半20分、ゴール前で縦パスを受けたガンソが、DFを交わし、走りこんできたネイマールに流し、ネイマールがゴールを決めたのだ。この2点目は大きかった。1-0と2-0ではまったく違うから・・・。

それまではほとんどサントスが圧倒的に攻めていた感じだったが、その後、危ないシーンがいくつかあった。

しかし、控えのGKとはいえいつも安定感あるいい動きをするアラーニャがしっかりした守備を見せてくれていた。

そして、最後の最後、後半ロスタイムにゴール前でパスを受けたネイマールが、DFを交わしきれいにゴールを決めてくれたのだった。

結局3-0でサントスが勝った。

試合直後、インタビューされたガンソのコメントが印象深かった。インタビュアーの「これでサントスは99%優勝ですね!」に、ガンソは「いやぁ、まだ50%ですよ。」というものだった。本当にその通りなのだ。インタビュアーは、「たった?」と言っていたが、まだ半分終わっただけなのである。勝って兜の緒を締めよ、である。

さて、3点差、それもアウェイゴールを3点も奪っていることは、今のサントスにとってかなり優位になったといえるだろう。しかし、決勝は何が起こるかわからない。もう一度、気を引き締めて、決勝戦第2戦に臨んでほしいと思う。

さて、主な他州選手権の決勝第1戦の結果は以下のとおりである。

リオデジャネイロ州 ボタフォゴフルミネンセ 1-4でフルミネンセ

リオグランジドスウ州 カシアス対インテルナシオナウ 1-1

ミナスジェライス州 アメリカ・ミネイロアトレチコ・ミネイロ 1-1

パラナ州 アトレチコ・パラナエンセコリチーバ 2-2

ゴイアス州 ゴイアスアトレチコゴイアニア 2-2

サンタカタリーナ州 アヴァイー対フィグイレンセ 3-0でアヴァイー

バイーア州 ヴィトリア対バイーア 0-0

ペルナンブッコ州 サンタクルス対スポルチ 0-0

セアラー州 フォルタレーザ対セアラー 0-0

ほとんどの州が引き分けであることがわかる。それだけ、力が僅差であるということなのだろうか?

第2戦も一斉に、次の日曜日の午後4時から行われ、優勝が決まるのである。

各州にて、果たしてどのような結末が待っているのだろうか。ブラジル中のサッカーファンの熱狂は続くのである。