準々決勝サントス対モジミリン サントスは順当に準決勝進出したが、他のカードでは大波乱があった!

ちょうど1週間前、先週の日曜日4月22日のことである。この週末(21、22日)から、ブラジル全土で行われている各州での州選手権で、決勝トーナメントが始まった。厳密にいうとこの表現は正しくはない。というのも、開催方法は各州のサッカー連盟に委ねられているからだ。そのため、すべての州が必ずしも決勝トーナメントに入ったわけではないが、主要のほとんどの州では、前週末までにリーグ戦を終え、この週末から決勝トーナメントに入ったのである。

さて、わがサントスが戦っているサンパウロ州選手権も例外ではなく、この週末から決勝トーナメントが始まった。

サンパウロ州選手権でのルールは、全20チームによる総当りのリーグ戦を行い、上位8チームが決勝トーナメントに進出する、というものである。準々決勝は1位と8位、2位と7位というようにリーグ戦の順位で組み合わせが決められる。準々決勝と準決勝は1試合ずつ、そして最後の決勝だけはホームアンドアウェイで2試合行い、優勝を決めるというものだ。

リーグ戦での上位8位までの順位は、以下のとおりである。

1位コリンチャンス 勝ち点46

2位サンパウロ   勝ち点43

3位サントス    勝ち点39

4位グアラニ    勝ち点36

5位パウメイラス  勝ち点36

6位モジミリン   勝ち点35

7位ブラガンチーノ 勝ち点29

8位ポンチプレッタ 勝ち点28

ということで、準々決勝の組み合わせは、

コリンチャンスポンチプレッタ

サンパウロブラガンチーノ

サントス対モジミリン

グアラニ対パウメイラス

となり、以上の4試合が行われることになった。

上位4チームがホームで戦えるので、この日サントスはホームのVila Belmiroでの対戦だった。

さすがに一発勝負の決勝トーナメントなので、サントスもベストメンバーでの布陣だった。先発メンバーで前試合と異なるのは3人。右SBにエンヒーキEnriqueに代わりマラニャオンMaranhao、右MFがエラーノElanoに代わりイブソンIbson、そしてセンターFWがボルジェスBorgesに代わりアラン・カルデッキAlan Kardecだった。

私は、所用で外出しており、自宅に帰りTVをつけたら前半の15分になっていた。0-0だったので安心した。

決勝トーナメントといっても、相手はかなり格下だったため、サントスが優位に試合を進めていた。

そんな中、前半21分、ネイマールからの前線へのクロスにこの日久々に先発出場したマラニャオンが上手く頭で合わせ、サントスに先制点が決まったのだ。

あまり目立った活躍をしていなかったマラニャオンだったが、見事に結果を出したのだった。

そして、後半25分に、今度はマラニャオンからのパスを中央付近で受けたネイマールがそのままドリブルで2、3人を交わし一人でゴールを決めたのだ。

これは、ネイマールの最も得意とする形だろう。

結局2-0でサントスが危なげなく勝ち、準決勝進出を決めたのだった。

他のカードでは、サンパウロは順当にブラガンチーノに4-1で勝利したが、4大チームの他の2チーム、コリンチャンスとパウメイラスは敗退してしまったのだ。

この日サントスの試合と同時刻の午後4時開始のコリンチャンスポンチプレッタに2-3で、そしてこの日午後6時半から試合が始まったパウメイラスはグアラニ相手にまったく同じスコアの2-3でコリンチャンスに付き合うことになったのだ。

パウメイラスは、最近かなり調子を落としていたので、負けても特に驚かなかったが、コリンチャンスの敗退は、かなり気の毒に思った。

この大会、一昨年前までは、上位4チームによる決勝トーナメントを行っていた。決勝トーナメントの期間は4週間あるので、準決勝、決勝とそれぞれホームアンドアウェイの2試合で勝敗を決めていたのだ。

それが、去年から上位8チームに変わったのだ。

全20チーム中4位までに入るのはそれなりに努力が必要だが、8位までとなると他のチームと格が著しく違う4大チームなどはよっぽどのことがない限り決勝トーナメントに進めてしまう。

そのため、サントスなどは併用して行われているリベルタドーレスを優先し、総2軍で試合に臨んだりするのである。

つまり、リーグ戦の結果がほとんど重要視されないということだ。

ルール改定された去年は、たまたま4大チームが1位~4位までを占め、準々決勝ですべてが勝ったので、それほど弊害を感じなかった。

しかし、今年はとんでもない下克上が起こったのだ。

1位のコリンチャンスが8位のポンチプレッタに負けたのである。リーグ戦での勝ち点差は、実に18もあるのにである。

準々決勝、準決勝は、一発勝負で行われる。驚くことに、上位チームのアドヴァンテージは、単に試合をホームスタジアムで行えるというだけだ。引き分けの場合でも、PK戦での決着となり、まったくアドヴァンテージがないのである。

この日、サントス戦とコリンチャンス戦は同時刻に行われていたので、サンチスタの私はサントス戦を、そしてコリンチアーノの長男は別のTVでコリンチャンス戦を見ていた。

比較的一方的な試合だったサントス戦に比べ、コリンチャンス戦はかなり白熱した試合だったようだ。

前半を終え、0-2とリードされたコリンチャンスだったが、後半28分には1点差に迫る。しかし、後半終了間際に相手にゴールを奪われ万事休すした。その後ロスタイムに1点返すが、コリンチャンスは負けてしまったのだ。

その瞬間、長男は大声で「負けてしまったーーー!」と言って泣いていた。

昔はよく泣いていた長男だったが、最近では本当に久しぶりに泣いた姿を目の当たりにした。

かわいそうだなぁとは思ったが、これがサッカーだ。仕方がない。

私もぜひコリンチャンスには勝ってもらい、去年と同様、決勝でのサントスとの対戦を望んでいた。

私は、大のサントスファンだが、その次にはコリンチャンスを応援している。それは、長男ひいきのチームだからということが大きいと思うが、このような人は本当に珍しいだろう。長男も同様である。コリンチャンスとその次にサントスを応援している。

サンパウロの人は、だいたい4大チームのどれかのファンである。そして、そのひいきのチーム以外は毛嫌いしているのが普通だ。だから、サントスファンがコリンチャンスを応援することはまずないし、コリンチャンスファンがサントスを応援することもないのだ。だから、私と長男はブラジルでは相当に変わっているといえるだろう。

それは、ブラジルのどの街でもそうだろう。わが街サルヴァドールでは、バイーアとヴィトリアがその関係にある。

そんなことを思わされた準々決勝であった。

さて、そんな準々決勝は終わり、次の日曜日、つまり本日4月29日に、準決勝の2試合が行われることになった。

この組み合わせがまたすごい。1つがサンパウロ対サントス、もう1つがグアラニポンチプレッタの対戦に決まったのだ。つまり、いずれもクラシコになったのだ。

サンパウロとサントスは誰もが認める名門チーム同士の戦いだ。一方のグアラニポンチプレッタは、サンパウロから約100キロ離れたカンピーナス市をホームとするライバルチーム同士なのだ。

なんだかこういうところにも運命というか因縁のようなものを感じてしまう。

既に先ほど試合が終わったのだが、別途記述したいと思う。

決勝に残ったチームは2つ。来週末と再来週末に行われるホームアンドアウェイの2試合で優勝チームが決まるのだ。

あと2週間、楽しみはまだまだ続くのである・・・。