最終節浦和対柏 柏優勝おめでとう、浦和は雪辱果たせず。

NHKの国際放送でこの試合をTV中継してくれることを知り、夜中にもかかわらず、楽しみにしてTV観戦した。

Jリーグとブラジルリーグはともにこの週末に最終節を迎え、いずれも最終節に優勝が決まるという大混戦である。その上ブラジルでは、降格争い、リベルタドーレス出場権も混戦状態なので、こちらのスポーツ番組でも連日サッカーの最終節の話題で持ちきりなのである。

Jリーグも、柏、名古屋、ガンバ大阪が勝ち点1差ずつで続いており、いずれにも優勝の可能性があるということで、ブラジルと同様に相当に盛り上がっていたことが想像できる。

さて、Jリーグの試合を見るのは今年2回目になる。8月に一時帰国した際に、恒例行事といってもいいだろう、熱狂的レッズファンの義妹夫婦と昨年バルセロナで出会ったこれも熱狂的なレッズファンの若夫婦と浦和の試合を観に行ったからだ。この時は、残念ながらヴィッセル神戸に負けてしまった。

柏にまったく強いイメージを持っていなかったが、試合開始早々からそのイメージは覆されてしまった。

監督が、ブラジルのローテーション監督の一人、ネルシーニョ・バチスタだということは知っていたが、ジョルジ・ワグィナーがいるのには驚いた。ジョルジ・ワグィナーは、ブラジルのインテルナシオナルサンパウロで主力選手として活躍し、ブラジルでもクラッキの一人に数えられるほどの名選手である。そんなジョルジ・ワグィナーが今柏でプレーしているとは夢にも思わなかった。

そのジョルジ・ワグィナーともう一人の10番をつけたブラジル人選手ドミンゲスを中心にアウェイとは思えないような怒涛の攻撃を見せつけられた。

私は、親しい友人にレッズファンが多く、何度か埼玉スタジアムに通っているので当然浦和を応援しながら見ていたのだが、まったく柏の一方的な試合であった。

柏がこれだけ強いチームだと知らなかっただけでなく、浦和がこれほどまでに弱いチームだと知らなかった。この衝撃はかなり大きかった。

浦和は、まったくボールをキープできない。ボールを得ても、パスミスばかり。これほど基本的なパスミスを繰り返すチームを見たことがない。ブラジルのチームもレベルが低いと思っていたが、それよりも数段にレベルが下だ。

ルーズボールはまったく拾えず。真ん中のスペースは驚くぐらいに白いユニフォームの柏の選手しかいない。赤いユニフォームの選手が、なぜカンポの中央にまったくいないのか不思議で仕方がなかった。個々のポジショニングが相当に悪かったのか・・・。

何とか、運にも助けられ、ゴールを割られずに済んでいたが、前半29分、ついに柏にゴールが決まってしまう。ジョルジ・ワグィナーのCKから、最後はジョルジ・ワグィナーが豪快に蹴り込んで決めたのだ。さすが、ブラジルが誇るクラッキだ。ものが違う。

こうなると、浦和を応援している身からすると絶望的な気分になる。

その後も、浦和はまったくいいところなく、その約10分後に、またもCKから追加点を奪われ、0-2で前半を終えた。

前半だけで、シュート数は浦和ゼロに対し柏は18本である。これだけで、どれだけ一方的な試合だったかわかるだろう。

さて、後半はもう見るのをやめようかと思ったが、見続けた。

しかし、不思議なことに、前半まったくできなかった浦和がボールをキープし始めるようになったのだ。選手交代は後半開始から1トップの山田直輝に代えて原一樹を入れただけなのだが、劇的に変わったのだ。

そんな中、早々の後半8分に浦和にゴールが決まったのだ。これには驚いたと同時に、これはおもしろくなったな、と思った。

その後、前半が嘘のように、浦和が主導権を握る。特に目立ったのは、原口元気だ。かなり見せ場をつくっていた。しかし、追加点は奪えない。刻々と時間だけが過ぎていく。後半30分が過ぎたころ、アクシデントのようなゴールが、何と柏に決まってしまったのだ。

このゴール、決まった瞬間、GKはなんていうミスを犯したのか、と思った。なんでもない球を後逸してゴールに入ったように見えたからだ。しかし、VTRを見ると、GKの前でバウンドした際に巧みにバウンドがイレギュラーしていたのだ。なんというアンラッキーなのか・・・。

このゴールは柏を生き返らした。柏にとって、天からの恵みのようなものだ。

その後は、一転して、浦和に元気がなくなった。

結局、そのまま1-3で柏が勝ち、見事な優勝を決めたのだった。

後半途中まで見せ場をつくったとはいえ、浦和にとっては悔しさだけが残る試合だっただろう。スタジアムの95%を占めつくしたレッズファンはどのような思いで、スタジアムを後にしたのだろうか?

この試合、私はかなり浦和に期待していた。

なんといっても、浦和には、2007年の最終節での忘れられない痛い経験があり、その雪辱を果たす絶好の機会だったからだ。

あの時と状況は逆であるが、スタジアムを埋め尽くしたファンの数は、ほぼ同じだろう。

しかし、浦和はまたも負けてしまったのだ。

名古屋、ガンバ大阪も意地を見せ、ともに勝ったが、柏が優勝した。

これで柏は、クラブW杯に出場できるのだ。これは大きいだろう。

この日の前半の試合ぶりを見て、柏は、我がサントスにとっても相当脅威になるだろうと思わざる得なかった。

それにしても、思いがけずJリーグの試合が見れたことはとても嬉しいことだった。

私は、この試合が終了した直後、土曜日の早朝、間髪入れず、会社に向かったのであった。