第9節パウメイラス対サントス サントスの状況はかなり厳しいと言わざるを得ない

7月10日(日)夕方6時30分からサンパウロクラシコの一つであるパウメイラス対サントスの試合が行われた。通常サンパウロクラシコは日曜の午後4時から行われるので、今回はかなり異例である。

私はこの日、午後4時からのバイーアボタフォゴ戦をスタジアムに観戦に行っていた。そのため、このサントスの試合は一部始終を見れたわけではない。しかし、思った以上に早く帰宅でき、前半18分からTV観戦することができた。

TVをつけたとき、0-0でよかったと思った。しかし、帰宅して着替えをしようと寝室へ行っている隙に、リビングでつけていたTVから「ゴーーール!」という大きな声が聞こえてきた。

すぐにリビングに戻ったら、何とパウメイラスにゴールが決まっていた。それも、この前までサントスにいて7月からパウメイラスに移籍したマイコン・レイチのゴールだった。

これには唖然とした。何でマイコン・レイチほどのFWを売却してしまったのか、非常に残念に思った。今のサントスにはなくてはならないタイプのFWだろう。あれだけ、スピードがあり、DFの裏に現れることができるFWはそうそういない。

その後も、パウメイラスの一方的な攻撃が続いた。

そして、前半29分にCKからヘディングで2点目が決められ、前半終了間際、左サイドがきれいに攻め込まれ3点目が決まってしまったのだ。

もう、サントスなど手も足も出ないような状況である。

前半だけで3-0である。

この日のサントスの先発メンバーを見てみよう。

GK:ハファエロ・・・レギュラー

右SB:パラー・・・準レギュラー

          去年まではレギュラーだったが、今年はジョナタン、ダニーロに次ぐ3番手。悪くはないが、この二人に比べると力量は落ちる。この日は、相当に右サイドを抜かれていた。

CB:エドゥー・ドゥラセナ・・・レギュラー

   ドゥリヴァウ・・・レギュラー

左SB:レオ・・・レギュラー

ボランチ:アロウカ・・・レギュラー

     ダニーロ・・・レギュラー

     ホドリゴ・ポセボン・・・今年1月に加入した。以前はマンチェスター・ユナイテッドにも所属していた。今年早々のサンパウロ州選手権では先発出場を果たしていたが、その後はベンチ要員。悪くはないと思う。

攻撃的MF:ジオーゴ・・・今年1月、フラメンゴから加入。1月開始のサンパウロ州選手権ではたびたび先発出場していたが、それ以降はほとんどベンチ入りすらしていなかった。潜在能力はあるのだろうが、サントスでは未だ実力を発揮できていない。

FW:ボルジェス・・・今年6月にグレミオから移籍した。長らくサンパウロで活躍した。実績もぴか一。デビュー戦で2ゴール、2戦目に1ゴールを決めている。かなり信頼感のあるFW。

   ヒシェーリ・・・今年5月まではサント・アンドレーに所属し、サンパウロ州選手権での活躍により、6月に移籍してきた。派手さはないが、既に2ゴールを決めている。

以上の11人である。

これをみると、ボランチまでの守備陣は、ほぼレギュラーだということがわかる。

しかし、サントスの最大の特徴は、圧倒的な攻撃力にある。攻撃陣が、レギュラーとはほぼ違う。レギュラークラスはボルジェスだけで、他はすべて控えである。

それだけが原因だとは思わないが、この日のサントス、特に前半はまったく攻撃ができていなかった。

後半開始から、サントスは2人交代した。

ホドリゴ・ポセボンに代えホジャー・ガウーショ、ヒシェーリに代えフェリペ・アンダーソンである。

これだけの変化だったが、多少攻撃ができるようにはなった。しかし、ゴールは遠く、1点も奪うことはできなかった。

そのまま3-0でゲームセットである。

ブラジルのサッカーの試合では、頻繁に選手同士がユニフォーム交換をする。前半が終わっただけでもするのだから、ヨーロッパとは大違いである。

試合終了後、この日試合には出ていなかったDFブルーノ・アギィアールが、パウメイラスのGKマルコスとユニフォーム交換をしていた。マルコスといえば、2002年W杯コリア・ジャパン大会で優勝したときの正GKである。

それをTVの実況では、「皆がマルコスのユニフォームを欲しがっており、この日はブルーノ・アギィアールが見事交換に成功しています」などと言っていた。

それにしても、今後のサントスの状況はかなり厳しいと言わざるを得ない。7月24日にコッパ・アメリカが終わり主力3選手が戻ってきても、その後U20の大会(五輪予選か?)がある。U20には、ネイマールダニーロ、アレックス・サンドロ、そしてアラン・パトリキがサントスから選ばれており、どれも主力級である。

その上、次から次に、ヨーロッパへの移籍の情報、噂が上がっており、さすがのサントスとはいえ、まともな戦力では戦えない状況が続くのである。

この日の試合を終え、他のチームより2試合少ないとはいえ、2勝3敗2分けで勝ち点8の16位に沈んでいるのだ。

果たして、今後のサントスはどのように戦っていくのだろうか?

かなり、不安にさせられた一戦であったのだった。