レアルマドリッドの2連覇で幕を閉じたクラブW杯。南米代表ブラジルのグレミオは準優勝に終わった!

サッカーのクラブ世界一を決めるFIFAクラブワールドカップ(以下クラブW杯)が12月6日から12月16日までアラブ首長国連邦で行われた。

去年は日本で開催され、開催国代表の鹿島アントラーズが決勝まで進み、ヨーロッパ王者のレアルマドリッド相手にあわよくばというところまで行き、日本では相当に盛り上がったことを思い出す。

今年は、会場こそ日本ではないが、浦和レッズがJリーグ勢としては9年ぶりにアジア王者として、また本田圭佑が所属するパチューカ中南米代表として出場することで、日本人にとってとても注目度の高い大会となった。

また、南米代表としてブラジルのグレミオが出場することになった。ブラジルサッカーを愛する者としては、とても嬉しく思う。

ブラジルのチームが出場するのは、2013年のアトレチコミネイロ以来4年ぶりとなる。

グレミオは、ブラジル南部の都市、ポルトアレグリをホームとする人気チームだ。ポルトアレグリでは、このグレミオインテルナシオナウが2大チームとして君臨し、ライバルとしてしのぎを削っている。

クラブW杯が始まった2005年以降、インテルナシオナウは本大会に2度出場し、2006年にはヨーロッパ王者のバルセロナを倒し優勝を飾っている。

一方のグレミオは、クラブW杯の前身であるトヨタカップに2度出場し、1983年には現監督のへナト・ガウーショの活躍で優勝を飾っている。

今回のグレミオは、チームのレジェンド、へナト・ガウーショが監督を務め、昨年ブラジルに悲願の金メダルをもたらしたリオ五輪での活躍も記憶に新しいFWルアンを絶対的エースとして擁している。ほかには、香川真司の同僚としてドルとムンドでも活躍したFWルーカス・バリオス、そして昨年までアルビレックス新潟に所属していたSBコルテースもレギュラーとして活躍している。

いろいろと見どころが多く楽しみの積もった大会だったが、結果として、グレミオは決勝にこそ駒を進めることはできたが、注目されたルアンもほとんど見せ場もなく不発に終わり、満足のいくサッカーは見せられなかった。ただし、DF陣の奮闘には目を見張るものがあり、特に両CBのジェロメウとカンデマンの堅守ぶりは相当に目立っていた。

ヨーロッパ王者レアルマドリッドは、初戦の準決勝を開催国代表のアルジャジーラ相手に苦しみながらも逆転で勝利し、グレミオとの決勝でもグレミオのシュートを1本に抑え、ゴールこそクリスチアーノ・ロナウドの直接FKの1点だけだったが完勝し見事に2連覇を飾った。

今回の大会は、決勝戦以上に、それ以前の試合に見どころがあった。

あわやジャイアントキリングかと思われたレアルマドリッドアルジャジーラの準決勝は見ていておもしろかった。

浦和レッズは、初戦の準々決勝でアルジャジーラ相手に0-1で負け非常に残念な結果に終わってしまった。この試合に勝てば、レアルマドリッドと対戦でき、本田のパチューカとの対戦の可能性もあったので、とても残念に思った。

パチューカは本田の活躍が目立った。

本田はパチューカの中心人物として非常に効果的な動きをしており、積極的に何度もシュートを放ちかなり目立っていた。

グレミオとの準決勝でも、パチューカの動きはとてもよく、決勝に駒を進めていても不思議ではなかった。

すごくよい働きをしていただけに、パチューカの最後の試合となった3位決定戦に出場しなかったことはとても残念だった。

しかし、今大会一番評価を上げた選手は、アルジャジーラのFWロマリーニョかもしれない。相当なインパクトを与えてくれた。

今大会では2ゴールを挙げ、クリスチアーノ・ロナウドらと共に得点王に輝いた。特にレアルマドリッド戦の先制ゴールはカウンターで鮮やかに決まり、世界中を驚かせたのではないだろうか。浦和レッズ戦でもアシストを決めており、勝負強さを感じる選手だった。

2012~2014年に名門コリンチャンスで活躍しており、2012年のクラブW杯優勝時のメンバーでもあるブラジル人選手だ。現在27歳で、これからまだまだ活躍していくだろう。2014年から中東でプレーしているようだが、これを機にヨーロッパのクラブへの道が開けるかもしれない。非常に楽しみな選手だと思った。

日本対ブラジル チチ ブラジル代表は日本相手に格の違いを見せつけた!

ブラジル代表と日本代表の国際親善試合が、11月10日(金)13:00からフランス北東部のリールで行われた。

まず、キックオフの時間だが、現地では相当な違和感を持って受け入れられているようだ。日本時間で夜9:00、ブラジルの主要都市では朝9:00ということになる。日本ではゴールデンタイムになるが、ブラジル、そして現地フランスでは、観戦するには難しい時間帯である。いくら親善試合とはいえ、フランスリーグで活躍するネイマールをはじめとするブラジル代表の試合はフランス国民も見たいはずだ。

このキックオフ時間の決定には日本側のリクエストが相当に強かったのだろう。

そのおかげで日本在住者にとっては、TV観戦するうえで、これ以上ないほどの時間設定だった。そのため、今回の試合をTV観戦した人はとても多かったと思う。

日本代表のブラジル代表との試合は、ここ数年かなりの頻度で行われている。

2012、13、14年と3年連続で行われているし、フル代表ではないが昨年のリオ五輪の直前にU23(オリンピック代表)のチームで対戦していることは記憶に新しい。

いずれも、日本は1点も取れず完敗を喫している。

なんといっても今回の注目は、監督がチチに変わり大変貌を遂げたブラジル代表に日本代表がどう戦うのかというところだろう。

いつもそうだが、ブラジルと日本の試合を見ることは、これ以上ないぐらいの楽しみだ。

今回の試合も、相当に楽しみながらTV観戦した。

ブラジルの先発は、既に試合前日に予告されていた。

W杯予選の先発メンバーとは特にDF陣を中心に半数ほど異なっているが、特に注目したいのは、右SBのダニーロマンチェスターシティ)だ。

ダニエウ・アウヴェス(パリSG)とポジションが重なり、なかなかポジションを奪えない状況が続いている。2011年サントスでリベルタドーレス杯を制覇し、日本で行われたクラブW杯にも出場し準決勝の柏レイソル戦ではゴールも決めている。その後、ヨーロッパへ移籍し、ポルトを経て昨季まではレアル・マドリッドに所属していたが出場機会に恵まれず今季マンチェスターシティに移籍している。

チチのブラジル代表は、キャプテンの輪番制を採っており、この日のキャプテンはウィリアン(チェルシー)だった。

ネイマール(パリSG)の入場は、ネイマールポジションともいえる一番最後だった。

試合は、いきなり動いた。

開始7分頃に主審が突然試合を中断させた。そして、バックスタンド方向に向かって走っていった。

今回の試合では、VAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)のシステムを採用しておりその映像を見に行ったのだ。

その結果、ブラジルにPKが与えられたのだ。

このVARによる判定には相当に違和感を覚えた。とても唐突に試合が止められたように感じられた。特にブラジルからの抗議によりビデオ判定したわけでもなく、主審の判断によるものだ。そこまでする必要はあるのかと思ってしまった。

そして、そのPKをネイマールが難なく決めてブラジルに先制点が入った。

ブラジル対日本の試合は、いつも早い時間帯にブラジルに決められているが、今回も同じ展開になった。

そして、その数分後にも日本はペナルティエリア内でブラジル選手を倒しブラジルにPKが与えられた。

しかし、ネイマールの蹴った球をGK川島(メス)は弾きPKは失敗に終わった。ネイマールがPKを失敗したのは久しぶりに見た。

しかしながら、その直後のネイマールのCKからこぼれ球を左SBマルセロ(レアル・マドリッド)が豪快なミドルシュートをゴールに突き刺し、2点目が入った。

そして36分には、ブラジルが攻撃を仕掛け華麗なパス交換から、最後はダニーロのクロスをFWガブリエウ・ジェズス(マンチェスターシティ)が難なく左足を合わせ3点目が入った。

鮮やかな電光石火のような高速で、完璧な崩しだった。

前半、日本は何もできず、ブラジルに圧倒されていた。

後半開始と同時に、ブラジルはGKをアリソン(ローマ)からカッシオ(コリンチャンス)に代えた。

カッシオといえば、2012年の日本で行われたクラブW杯でMVPを獲得し、コリンチャンスの世界一に貢献した選手だ。このときのコリンチャンスの監督が現代表監督のチチである。

日本は、FW久保(ヘント)に代え浅野(シュツットガルト)を投入した。

後半、日本も見せ場をつくれるようになり、後半18分CKから槙野(浦和レッズ)がヘッドで決め1点を返した。日本がブラジルから得点を奪ったのは久しぶりだ。

その後、惜しいシーンもいくつかあったが、結局両者ゴールを奪えず、3-1でブラジルが勝った。

まずブラジルの強さだが、一人ひとりが真剣に走っていた。また、守備の意識は相当に強かったのではないだろうか。

特に、ガブリエウ・ジェズスのチェイシングには目を見張るものがあった。すごくスピードもあり、最前線から前後左右の相手をかなり追い求めていた。これは相手選手には相当な脅威だろう。

そして、ネイマール酒井宏樹マルセイユ)のマッチアップは相当な見ごたえを感じた。

この2人のマッチアップは何度目になるのだろうか?

現在、同じフランス リーグアンで対戦もしているが、最初は2011年のクラブW杯でのことではないだろうか?当時ネイマールはサントス、酒井宏樹柏レイソルと所属先は違うが、同じポジションで相当に対峙していたのを思い出す。お互いにゴールを決めているので、その当時のことはお互いに印象深い思い出だろう。ネイマールもそうだが、酒井宏樹も相当に成長していると思う。

そして、最後は、注目していたダニーロについてだ。

ボールにも相当に触っており、右SBとして十分な活躍をしてくれていたと思う。ガブリエウ・ジェズスの3点目のアシストも決めており、本人としてもなかなかの達成感を得ることはできたのではないだろうか。

後半途中から、左SBがマルセロからアレックス・サンドロ(ユベントス)に代わり、ダニーロとアレックス・サンドロが同じピッチに立った。ダニーロとアレックス・サンドロは、サントス、そしてポルトで両SBとしてチームメートとしてともに戦ってきた仲間だ。

後半終了間際には、ダニーロの右からの決定的なクロスをアレックス・サンドロがヘッドでゴールを狙ったが、惜しくも枠の外に外れたのは本当に惜しかった。

この2人にはそれぞれに、マルセロ、ダニエウ・アウヴェスという越えなければならない絶対的な存在がある。相当の逸材だと思っているので、是非とも頑張ってほしい。

日本については、後半ゴールを決めいくつかの見せ場はつくっていたが、相当に物足りなさは感じた。

今回の先発メンバーを見て、本田、香川、岡崎は外れているが悪くないと思ったが、ほとんどアピールできた選手はいないのではないだろうか。

個人的には、本田、香川、岡崎も含めて、ベストメンバーを探ってもよいと思うが・・・。

日本代表については、次のベルギー戦をどう戦うかに注目していきたいと思う。

チャンピオンリーグ決勝に見るブラジル人選手の活躍

毎年楽しみにしている試合の一つが、UEFAチャンピオンズリーグの決勝である。

今年は、6月3日(土)午後8:45(日本時間4日(日)早朝3:45)からウェールズカーディフで行われた。

日本では、フジテレビ(地上波)で生放送されるので、土曜の深夜だが、毎年見るようにしている。ブラジルでも最大のテレビ局であるグローボで生放送しており、土曜日の午後と時間的にもよいので、楽しみに見ていたし、サッカー好きなブラジル人たちも楽しみにしていたものだった。おそらく今でもそうだろう。

今年の対戦カードは、昨年の覇者で今季のスペインリーグ王者でもあるレアル・マドリッドとイタリア・セリエA王者のユベントスとなった。

スペインとイタリアの絶対的王者同士の対戦となり、かなり楽しみな好カードである。

そんな両チームだが、ブラジル人選手も2人ずつ先発し、4人それぞれがいい動きを見せてくれた。

レアル・マドリッドでは、左SBマルセロとボランチのカゼミーロ、そして、ユベントスでは、長年バルセロナで活躍した右SBのダニエウ・アウヴェスと左SBのアレックス・サンドロだ。

マルセロはフルミネンセダニエウ・アウヴェスバイーア出身だが、2人ともスペインリーグがとても長いので、ブラジルリーグで活躍していた時代を知らないが、カゼミーロとアレックス・サンドロはブラジルリーグでよく見ていた。

カゼミーロはサンパウロ、アレックス・サンドロはサントスで主力として活躍していた。2人ともネイマールと同世代で、特にアレックス・サンドロは、ネイマールが活躍していたサントスで同時代を駆け抜けていたので、特に思い入れが強い。今回、惜しくも出場機会がなかったレアル・マドリッドダニーロも、アレックス・サンドロ同様にサントスで同時代に活躍していたので、ぜひピッチに立ってほしかったが、最近はほとんど出場機会を得られていないようだ。

攻撃のレアル、守備のユベントスとよく言われるが、試合の立ち上がりは、ユベントスの猛攻が目立った。目覚める前のディフェンディングチャンピオンを前に、鮮やかに攻撃を仕掛けていた。左SBのアレックス・サンドロが、予想以上に目立っていた。左サイドで攻撃の基点となっていたのだ。しかし、そんなユベントスの猛攻も実らず、レアルが一瞬の隙をつき、前半26分にクリスチアーノ・ロナウドがゴールを決めた。それまでほとんどボールを触れていなかったが、決めるときに決めるのだ。さすが千両役者だ。

しかし、その数分後に、ユベントスは、アレックス・サンドロが基点となり、中央へ折り返したボールをFWイグアインが繋ぎ、クロアチア代表のFWマンジュキッチが美しいオーバーヘッドキックでゴールを決めたのだった。これで試合はおもしろくなったと思った。

ブラジル代表では両サイドバックの2人、マルセロとダニエウ・アウヴェスのマッチアップは見ごたえ十分だった。ダニエウ・アウヴェスは昨年まで長年バルセロナで活躍していたが、移籍先のユベントスでもバルセロナ時代と同様に、十分に魅せてくれていた。この2人、攻撃重視のプレースタイルもよく似ており、2人ともそれぞれのチームのキープレーヤーとして攻撃の基点になっており、意地と意地のぶつかり合いといった感じだった。

前半は1-1で折り返した。

しかし、後半は完全にレアルのゲームになってしまった。

口火を切ったのは、ブラジル人ボランチのカゼミーロだ。後半16分、ほぼ正面から放ったミドルシュートが決まったのだ。

その直後には、クリスチアーノ・ロナウドが試合を決定付けるような追加点を決め、完全にレアルのペースになってしまった。

ユベントスの監督アレッグリの采配もはまらず、終了間際に途中出場のスペイン人の若きFWアセンシオにも決められ、4-1でレアルが2連覇を達成したのだった。

サントスで活躍したアレックス・サンドロが主力として出場していたので、どちらかと言うとユベントスを応援しながら見ており、特に前半がよかっただけに、この試合結果にはちょっと残念に思ったりした。しかし、レアルには底力の違いを見せつけられたので、この結果には納得だった。

そして、この世界最高峰の舞台で、ブラジル人選手たちの活躍を見ることができたことは、本当によかったと思った。

ブラジル人選手たちには、これからも世界の舞台で活躍してほしいと改めて思ったのだった。

カイオ・ジュニオール監督、クレーベル・サンタナ選手、ケンペス選手、そしてすべてのシャペコエンセの選手・チーム関係者へ

衝撃的なニュースが入ってきた。

11月28日午後10時ごろ(日本時間29日午前)ブラジルサッカーリーグ1部、シャペコエンセの選手・チーム関係者を乗せた飛行機が、コロンビア上空で墜落した。

最初、このニュースを聞いたとき、聞きなれないチーム名だったので、3部か4部ぐらいのチームだろうから、知っている選手などはいないだろうと思った。

しかし、このチームはれっきとしたブラジル選手権1部のチームで、私もよく知っている選手、日本のJリーグでプレーした選手が何人も含まれていた。本当にショックだった。

シャペコエンセは、ブラジル南部サンタカタリーナ州シャペコをホームタウンとするチームだ。私のブラジル在住中は3部もしくは4部に属していたが、2013年に2部へ、そして2014年から1部で戦っており、今季は残り1節を残し20チーム中9位となかなかの成績を収めている。そして、今回の事故は、南米におけるトーナメント戦であるコパスウアメリカーナの決勝を戦うためにコロンビアに来る途中でのことだった。

コパスウアメリカーナは、南米ではリベルタドーレス杯に次ぐ大会で、ヨーロッパにおけるUEFAチャンピオンズリーグに次ぐUEFAヨーロッパリーグのような大会で、優勝チームは翌年に、日本のルヴァンカップ(旧ナビスコカップ)優勝チームとスルガ銀行カップという試合を行っている。

シャペコエンセの選手たちは、そんな国際大会初制覇に向けて臨んだところだったのだ。

1部に昇格して3年目ということで、所属選手もそれなりの名前の知れた選手が揃っていた。

まずは、何といっても、クレーベル・サンタナだ。

私の応援するサントスで2006~2007年に主力として活躍していた選手だ。2006、2007年とサントスはサンパウロ州選手権を連覇しているが、この人の活躍がなければタイトルは取れなかっただろう。日本では、2005年に柏レイソルでプレーしているので、その勇姿を目に焼き付けている人も多いと思う。

そして、ケンペスだ。2011年にアメリカミネイロで大活躍し、2012年にはセレッソ大阪、2013~2014年にはジェフ千葉でエースストライカーとして活躍していた。編みこんだ髪の毛をなびかせ躍動する姿が印象深い。

そのほかにも、川崎フロンターレで2015年にプレーしたアルトゥール・マイア、コンサドーレ札幌でプレーしたハファエウ・バストス、2010年に京都サンガでプレーしたチアゴ、そして2015年にアビスパ福岡でプレーしたモイゼスといったように、日本に馴染みのある選手も多数所属していた。

そして、監督はなんと、カイオ・ジュニオールだった。

ブラジルの名門パウメイラスなどを指揮し、ブラジルでは珍しい理論派でまだ51歳。これからのブラジルを背負って立ってくれるだろうと期待していた逸材である。カイオ・ジュニオールを失ったことは、本当に痛手だと思う。

日本でも2009年にヴィッセル神戸で監督を務めていたので知っている人も多いと思う。

今回墜落した飛行機は、コロンビアの航空会社の飛行機とのことだが、ブラジル在住時7年間に渡って飛行機を日常茶飯事に利用していた者として、衝撃は物凄く大きい。

ブラジル、南米では、選手の移動手段で、日本以上に飛行機を使う機会が多い。私も、何度か、ブラジルのサッカーチームと同じ飛行機に乗り合わせたこともあるし、空港でサッカーチームを見かけることもよくある。

ブラジルで飛行機に乗っていたときには特に危険を感じたことはなかったが、私が在住していた7年間だけでも、ブラジル国内ではいくつかの飛行機事故は起こっている。

また、飛行機ではないが、自動車やバイクの交通事故は、日本とは比べ物にならないほどに多く、当時毎日通勤で車を利用していた私は、無事に一日を終えられるたびにホッとしながら過ごしていたものだった。

飛行機に限らず、このような交通事故が、今後起こらないことを切に願いたい。

亡くなられたシャペコエンセの選手・監督・チーム関係者の方々には、心よりお悔やみ申し上げます。

男子サッカー おめでとう、ブラジル!おめでとう、ネイマール!ネイマールも泣いた!ブラジル、劇的なPK戦でついに金メダルに輝いた!

ついにブラジルがサッカーで金メダルを取った。

この結果をどれだけ待ち望んだことだろうか。この地元開催という最高の舞台で最高の結果を最高の形で得ることができた。これ以上ないぐらい劇的だった。

ブラジルが決勝進出を決め、その相手がドイツに決まった時には、これ以上ない舞台が整ったと思った。

しかし、まさか、これほどまでに劇的に優勝を決めるとは思っていなかった。

それにしても、凄い試合だった。

立ち上がりはややドイツペース。しかしすぐに五分の状態になり、15分過ぎからはブラジルのペースになった。

そんな中、前半27分にブラジルが絶好の位置でFKを得る。

ネイマールの蹴ったボールは、ここしかないというところを針の穴を通すように、ゴールネットを突き刺したのだ。

これには震えた。

さすがは大舞台に強い男、ネイマールだ。この最高の舞台で、大事な先制点を決めたのだ。

その後、ドイツにいくつかの決定的なシーンがあったが全体的にはブラジルペースで、前半を1-0で折り返す。ネイマールはシャペウも魅せ、会場を沸かせた。

後半もブラジルペースは続いたが、ドイツにいくつか危ないシーンを作られ、後半14分、きれいに崩されてゴールを決められてしまった。

しかし、そんなことで下を向いているわけにもいかない。

流れはドイツに傾きかけたが、ブラジルも多彩な攻撃を繰り出し惜しいシーンが続いた。

勝負は90分間で決まらず、延長戦に入った。

ブラジルは集中力を切らさず、必死に攻めるがゴールだけが奪えない。時間だけが刻々と過ぎていく。

途中出場のフェリペ・アンデルソンが前線でよく絡んで、チャンスをつくったが、ドイツのディフェンスは固く、決めることができなかった。

何とか決めてほしかったが決めきれず、PK戦に突入した。

ドイツが先攻、ブラジルは後攻。

この最高に緊張する場面で両チーム4人目まで全員が決めた。

ブラジルは、へナト・アウグスト、マルキーニョスラフィーニャ、ルアンと出てきて、決めてくれた。

本当にこの極限の緊張状態で、よく決めてくれたと思う。

そして、5人目のドイツのキックをGKウェヴェルトンが見事に止めてくれたのだ。

次のキッカーはネイマールだ。

ネイマールとはいえ、いやネイマールだからこそ、緊張は極限に達していたことだろう。

ネイマールの蹴ったボールは、きれいにゴールマウスの中に入っていった。

ネイマールは、この最高潮の緊張を見事に克服し、優勝を決めてくれたのだ。

ネイマールは泣いていた。

私も体が震えた。

涙が出てきた。

ブラジル代表に対するプレッシャー、特にキャプテンであるネイマールに対するものは想像を絶するものだったのだろう。

マラカナンは最高潮に沸き上がった。

ブラジルの選手たち、ブラジルチームの関係者、そしてブラジル国民はこの瞬間を待ち望んでいたのだ。

この瞬間のことは、今思い出しても体が震えてくる。

これ以上の感動はないだろう。

おめでとう、ブラジルの選手たち!おめでとう、ネイマール

心から祝福を送りたいと思う。

ブラジルサッカーを、そして今回のオリンピックでブラジル代表の試合を一部始終見てきた者として、最後の最後に最高の感動を味わうことができた。

ブラジルの選手たちは想像を絶するプレッシャーに打ち勝ち、最高の結果を得ることができたのだ。

ブラジルの選手たち、チーム関係者、そしてネイマールには心から感謝したいと思う。

ありがとう、ブラジルの選手たち!ありがとう、ネイマール

女子サッカー ブラジルはメダル獲得ならず

8月19日(金)午後1時(日本時間20日(土)午前1時)、サンパウロアレーナ・コリンチャンス女子サッカーの3位決定戦が行われた。ブラジルは、準決勝をPK戦で落とし決勝には進めず、カナダとの3位決定戦に回ることになった。

勝っても負けてもこれが最後の試合になる両チーム。ブラジルは、通常先発メンバーだけで行う写真撮影を選手全員で行っていた。

ブラジルの先発メンバーは前試合から2人変えてきた。

右SBを12番のポリアーナから2番のファビアーナへ、そして前線では7番デビーニャからあの11番のクリスチアーニへ変わっていた。

ファビアーナもクリスチアーニも今大会の試合中に怪我をしていたが、回復したようだ。

試合は、全体的にカナダが攻め、ブラジルは劣勢でうまく攻撃を組み立てられていなかった。

そんな中、前半25分にカナダのゴールが決まった。ブラジルがCKで攻め上がっている最中にカウンターで決められてしまったのだ。

マルタがボールを持つと可能性は感じさせるが、決め手に欠き、惜しいチャンスもあるが、決めきれない。期待を一身に背負うマルタは、疲れもあるのだろうが、いつもほどのキレは見られなかった。

また、期待されたクリスチアーニは途中出場した前試合でも精彩を欠いており、この日もキレが感じられなかった。

目立った選手といえば、怪我から復帰明けの右SBファビアーナぐらいか。頻繁にオーバーラップを見せていたが、ゴールまでは結びつかなかった。

後半開始から、不調のクリスチアーニに代え、7番のデビーニャが入った。

しかし、早々の後半7分にカナダに加点されてしまったのだ。

ブラジルの左サイドでボールを奪われ、そのまま持ち込まれ、12番をつけたキャプテンのシンクレアにゴールを決められたのだ。2点差になってしまった。これは痛かった。

その後、ブラジルは、立て続けに2人選手を交代し、反撃を試みるがなかなか思うように展開できない。

しかし、後半34分、スローインから、ゴール前にいた16番のFWベアトリスがワントラップしてから振り向きざまにシュートを打ちゴールを決めたのだ。

これは見事だった。技ありのゴールだった。

1点を取ったブラジルは息を吹き返し攻め続けるが、ゴールは遠かった。

結局1-2で負け、メダルを獲得することはできなかった。

地元開催で、国民的ヒーロー、マルタのためにもぜひ金メダル、少なくてもメダルは獲得してほしかったが、残念ながら実現しなかった。

試合終了後、ブラジルは敗れたが、観客からはブラジルコールが起きた。ブラジル選手たちに大歓声が送られたのだ。

私は正直ブーイングでもされるのではないかと思ったが、観客たちの態度は立派だった。

カナダの選手たちにも拍手が送られていた。

そして、マラカナンで行われた決勝戦では、ドイツがスウェーデンを2-1で破り、金メダルを獲得している。

改めて、なでしこジャパンがこの舞台に立てなかったことは本当に残念だと思った。

次の大舞台は、2019年のフランスW杯、そして2020年の東京五輪である。

ブラジル、そして日本の選手たちの勇姿が見れることを期待したい。

そして、ブラジル、日本、それぞれの女子サッカーチームがより強くなり、優勝することを願いたい。

男子サッカーブラジル準決勝を完勝し、決勝進出を決めた!

17日(水)午後1:00(日本時間18日(木)午前1:00)にリオデジャネイロマラカナン・スタジアムで、ブラジル対ホンジュラスの準決勝が行われた。

サッカーの聖地、マラカナン・スタジアムは準決勝から使われ、ブラジルは、何とか無事にこの舞台まで進んでくることができた。

ブラジルの先発メンバーは、前試合、前々試合と同じ。これが今のベストメンバーと考えてよいだろう。

試合は、開始早々から動いた。

開始直後のワンプレー、相手のキックオフからのボール回しを、ゴール前でネイマールが奪い取り、そのまま相手GKと交錯し倒れ込むようにして放ったボールは、無人ゴールマウスの中にきれいに入っていった。

開始15秒でブラジルにゴールが決まったのだ。

このゴールは、ブラジルにとって、かなり楽になったはずだ。

いくら格下相手でも、地元開催で大きなプレッシャーがかかるこの試合、先制点を早くに取れたことで、ブラジルは余裕を持って試合を進めることができるようになった。

ゴールを決めたネイマールは、このゴールでの接触プレーで一旦ピッチを離れた。少し心配したが、無事に戻ってきてくれた。

その後、圧倒的にブラジルが攻め、試合を進めた。

相手ホンジュラスのブラジル選手へのプレッシャーはすごかった。

特に、この日少し引き気味にポジションを取っていたネイマールは、かなり激しくチャージを受けていた。

ネイマールは、そのポジショニングにより、中盤から自分で仕掛ける場面がいつも以上に多く見られ、それがいい攻撃を生み出していた。

そんな中、ガブリエウ・ジェズスが、その後、前半に2点ゴールを決め、前半を3-0で折り返した。

前半26分、ガビゴウからのパスを受けたルアンの縦パスを、ワンタッチでうまく合わせ2点目を、そしてその9分後に、中央のネイマールからの鋭い縦パスを受け、GKと1対1になり、落ち着いて、そして鮮やかにゴールマウスに突き刺し3点目を決めたのだった。

グループリーグでは、チャンスをことごとく外していたガブリエウ・ジェズスだったが、グループリーグ3戦目で初ゴールを決め、だいぶ落ち着いてプレーできるようになっていた。そして、この日は2ゴールを決める活躍だった。

後半開始から、ホンジュラスが2人選手を交代し、前半とは違いホンジュラスも多少攻撃ができるようになったが、ブラジルも攻撃のリズムを崩さなかった。

後半6分には、ネイマールのCKから、CBマルキーニョスが足でコントロールしてシュートを放ち、4点目を決めた。

このような試合の流れから、ブラジルは余裕ができ、随所に個人技を魅せてくれていた。グループリーグ3戦目のデンマーク戦ほどではないにしろ、フッチボウ・アルチが垣間見られた。

ネイマールは数々の個人技を魅せてくれたが、それ以外にも、ルアンがヒールパスを、そしてガビゴウはヘッドでシャぺウのような技を魅せてくれた。

そして、後半23分に、フェリペ・アンデルソンが、この日2ゴールと活躍したガブリエウ・ジェズスに代わり、途中出場を果たした。

オリンピック直前の日本との親善試合で活躍したフェリペ・アンデルソンだったが、グループリーグ3戦目で大活躍したルアンにポジションを奪われていた。

そんなフェリペ・アンデルソンとルアンが初めて共存することになった。どんなポジションになるのか注目したが、ガビゴウがガブリエウ・ジェズスの位置(左FW)に移り、フェリペ・アンデルソンは3トップの右に入った。

5点目は、そんなフェリペ・アンデルソンがゴールに絡んだ。

後半34分、ドリブルで持ち込んだ中央のガビゴウから右サイドのフェリペ・アンデルソンにボールが渡り、フェリペ・アンデルソンのクロスをルアンが軽く合わせてゴールを決めたのだ。

ゴールを決めたルアンとアシストのフェリペ・アンデルソン、そしてネイマールが抱き合って喜んでいたのは印象的だった。

フェリペ・アンデルソンにとって、この日久々に出場することができ、期するところがあったと思う。全体的な動きも悪くなく、ゴールこそ奪えなかったが、アシストという結果を残すことができた。これはよかったと思った。

このゴールの後、ガビゴウとポジションを入れ替え、左サイドにポジションを取るようになった。

そして、試合終了間際の後半ロスタイム、ペナルティーエリア内でルアンが倒されて得たPKを、ネイマールがGKの動きを見て落ち着いて決め、6-0でブラジルは完勝した。ついに決勝への進出を決めたのだった。

本気で金メダルを狙っているブラジルだが、最初の2戦でまったくゴールを奪えず、どうなることかと思ったが、3戦目をきっかけに、よい動きができるようになってきた。

あまり話題になっていないが、3戦目に中盤をワンボランチからWボランチにしてから、うまくリズムがつくれるようになっていると思う。ヘナト・アウグストとワラシのコンビだが、特にヘナト・アウグストがボランチの位置でしっかり抑えているのがとても効いているように感じる。本来、前線の選手なので、もっと前に行きたいところだろうが、しっかりとボランチに徹してくれている。前線にこれだけのタレントがいるブラジルにとって、これはとても大きいと思う。

また、OA枠の年長者として、キャプテンのネイマールを、そしてチーム全体を非常にフォローしているように見受けられる。

後半31分に、ラフィーニャと交代しピッチを後にしたが、スタンドの観客からは大きな拍手で迎えられていた。2戦目に大ブーイングを受けていたときとは完全に様相は異なっている。

ブラジルにとって悲願の金メダルまであと1勝である。

決勝の相手はドイツに決まった。

ドイツといえば何といっても2014年ブラジルW杯でのミネイラォンの惨劇である。

オリンピックは、U23代表チームで戦うので、W杯のフル代表とはメンバーがだいぶ異なるが、相手がドイツといえば燃えないわけはないだろう。

勝戦は、20日(土)午後5:30(日本時間21日(日)午前5:30)から、マラカナン・スタジアムで行われる。

勝って、ブラジルに有終の美を飾ってほしい。

そして、ブラジルサッカーを再び、全世界に向けて誇示してほしいと思うのである。