女子サッカー準々決勝 圧倒的に攻めたブラジル、PK戦で辛くも勝つことができた!
女子サッカーは男子サッカーに1日先駆けて、決勝トーナメントが始まり、12日に準々決勝4試合が行われた。グループリーグを1位通過したブラジルは、12日午後10時(日本時間13日午前10時)に、ベロオリゾンチのミネイラォン・スタジアムでオーストラリアと対戦した。
ミネイラォンといえば、2014年W杯で男子ブラジル代表がドイツに1-7で惨敗したスタジアムだ。
今大会、ブラジルでは、男子サッカーが最初の2試合であまりに不甲斐なかったので、国民は女子サッカーのほうに期待を寄せ始めていたようだった。
日本のなでしこジャパンが出場していないので、日本では、女子サッカーはほとんど注目されていないようだ。しかしながら、女子サッカーにとってオリンピックは最大の大会である。当然、見どころは多いはずだ。
グループリーグの試合は残念ながら見ていないが、決勝トーナメントは極力見ていきたいと思っている。
ブラジルのメンバーだが、ブラジル女子サッカー界のレジェンド、マルタがキャプテンとしてチームを引っ張っている。
マルタは、2011年に日本の澤が受賞したFIFAバロンドールをその前年まで2006年から5年連続で受賞しており、ブラジルでは大人気のスター選手である。
私は一度だけ、マルタのプレーを見たことがある。
2011年12月に、当時私が住んでいたサルヴァドールでネイマールが主催したチャリティーサッカーマッチがあり、その一員としてマルタもプレーしたのだ。
ポニーテールをなびかせながらピッチを疾走する姿は今でも目に焼きついている。
さて、試合は、そんなマルタを中心としたブラジルが、圧倒的な力を見せつけた。
マルタは意外とまだ若く、1986年生まれの30歳だ。一人でドリブル突破したり、華麗なパス交換など魅せてくれていた。まだまだ十分に見せ場をつくってくれていた。
ほとんどボールキープはブラジルだったが、ゴールだけが決まらない。
結局、0-0まま延長戦に入るがそれでも決まらず、PK戦に入った。
圧倒的な攻撃をしていたブラジルだったので、PK戦に入る前に決着をつけたかったが、ゴールだけが遠かった。
これだけ見ると、まるで男子サッカーブラジルのグループリーグ、1、2戦目のような感じだ。
延長戦に入る前に、マルタが円陣の中でチームメートたち全員に必死で鼓舞する姿には感動すら覚えた。
さて、そんなマルタの鼓舞も実らず、PK戦に入ったのだが、このPK戦が白熱してすさまじいものになった。
ブラジルが先攻。1人目から4人目まで両チーム全員が決めた。
そして、ブラジルの5人目は絶対的エースのマルタだ。だいたいエースと目される選手は5人目で蹴る場合が多い。
しかし、そんなマルタだったが、GKに止められてしまった。
概してPK戦ではビッグネームが外すことが多く、ここでもそうなってしまった。
これで、ブラジルは絶体絶命のピンチである。次のオーストラリアのキッカーに決められたら、そこで負けが決まる。
しかし、ブラジルのGKバルバラが見事に止めてくれたのだ。
その後、両チームとも息もつかせぬような展開だった。
両チームともキッカーが枠内にきれいに決めるのだ。本当にすごい精神力だと思う。緊迫した内容に、見ているこちらのほうが緊張するほどだった。
常々、ブラジル人はメンタルが弱いと思っていたが、この精神力、集中力は相当なものだと思った。
結局、8人目のオーストラリアのキッカーの枠内に飛んだ球をGKバルバラが見事に止め、ブラジルが準決勝進出を決めたのだった。
ブラジルが勝ってくれて本当によかったと思った。
そして、キャプテンのマルタは本当にホッとしたことだろう。
それにしても、このPK戦にはしびれた。両チーム全員が枠内にきっちりと蹴っていた。
最後には、リオ五輪のマークのタトゥーを入れていたブラジルのGKバルバラの執念勝ちといった感じか。
それにしても、やはりサッカーはゴールを決めてなんぼのゲームだ。
決定機にゴールを決めきれないことがここまで苦しんだ要因だ。
以前のブラジル女子には、クリスチアーニといういつも11番をつけたFWの選手がいて、マルタとのコンビネーションからよくゴールを決めていた。非常に勝気な感じで、けっこう好きな選手だった。今大会でも11番をつけてメンバーには選ばれているが、この日残念ながら出場機会はなかった。
さて、ブラジル女子の次の試合は、16日(火)午後1時(日本時間17日(水)深夜1時)からリオのマラカナンスタジアムで準決勝をスウェーデンと戦う。
スウェーデンはグループリーグでも対戦しており、そのときは5-1で勝っているが、油断は禁物である。
次の試合でも、ブラジルには素晴らしい戦いをみせてほしい。そして、決勝進出を決めてほしいと思う。