【ロシアW杯】グループリーグ2戦目ブラジル対コスタリカ ブラジルは苦しみながらも劇的な勝利を収めることができた!
ロシアW杯が開幕し1週間が経つ。
日本国内では、戦前の盛り上がりが今ひとつだったが、日本が初戦で格上のコロンビアに勝ち、巷でも徐々にワールドカップモードに入っているように感じる。
ここまで、各組でグループリーグの1~2戦が行われているが、強豪国の苦戦が目立つ。
前回優勝のドイツはメキシコ相手に初戦を落としているし、世界最高プレーヤーのメッシ擁するアルゼンチンはグループリーグ最終戦を残してグループ最下位の崖っぷちである。
反対に苦戦が予想された、出場国中FIFAランキング最下位の開催国ロシアは、開幕2連勝で決勝トーナメント進出を最初に決めるなど、予想外の展開が続いている。
優勝候補の筆頭に挙げられるブラジルも、初戦を格下のスイス相手に引き分けており、状況は芳しくない。
そんな中、グループリーグの2戦目、ブラジル対コスタリカの試合が、6月22日(金)15:00(日本時間21:00)にサンクトペテルブルクで行われた。
今回のW杯では、グループリーグ全3試合中最初の2戦の試合開始時刻は、日本時間で午後9時、午前0時、午前3時の3パターンである。
今回の試合は午後9時開始ということで、日本ではゴールデンタイムの時間となった。反対に、ブラジルでは、金曜の午前9時キックオフだったが、この日ブラジル国内では祝日になったようだ。
ここ最近、仕事上の会食等が多く、家にいるときは、ほとんどアルコールを飲まないようにしていたが、この日は、仕事も早く終えることができ、景気づけに、久しぶりに自宅近くの馴染みの居酒屋へ行き、店主と話をしながら、おいしいつまみとビールで腹ごしらえを済ませ、自宅のTVで観戦した。
ブラジルの先発は、前試合から右SB(サイドバック)のダニーロ(マンチェスターシティ)がファグネル(コリンチャンス)に変わったのみでそれ以外は第1戦と同じだった。個人的に応援しているダニーロだが、前日の練習中での怪我が原因のようだ。重くなければよいと思うがどうだろうか。
輪番制のキャプテンは、CB(センターバック)のチアゴ・シウヴァ(パリSG)が務めた。
入場セレモニーが終わり、キックオフのためにピッチ上に出て行ったブラジル選手たちは、青色のセカンドユニフォームを纏っていた。
ブラジルのセカンドユニフォームの青色は、そのバージョンによって微妙に色合いが異なる。私は、2011年のターコイズブルーのバージョンが、その色合いといいデザインといい大好きだったのだが、その年に行われたコパアメリカの成績が悪く、縁起が悪いということですぐに次のバージョンに切り替えられてしまった。
今回の青色は、2011年バージョンほどではないが、私の好きな少し緑がかったきれいな青い色だと思った。そんなきれいな色のユニフォームで戦うので、ぜひ今日は勝ってほしいと思った。
早速私も、自分で持っている2011年の青色のユニフォームを身につけ、TV観戦することにした。
さて、これから始まる試合は、壮絶な一本の大河ドラマのような展開を繰り広げることになる。
この時点では、そんな試合展開になるなど、誰が予想しただろうか。
コスタリカは、4年前のブラジル大会でベスト8に入り、一大旋風を巻き起こしたチームだ。大活躍したGKナバスはブラジル大会後、世界一のクラブチーム、レアルマドリッドに加入した。見事正GKの座を掴み、UEFAチャンピオンズリーグ3連覇の立役者として活躍している。
試合は、開始早々は、ブラジルがそこそこ攻撃を仕掛けていたが、コスタリカの守備を崩しあぐねていた。
コスタリカは、5-4-1の超守備型ファーメーションできれいに並んでいる。
ブラジルは、このきれいな並びをなかなか攻略できず、苦し紛れの遠目からのシュートを繰り返すことになった。
前半は0-0で折り返した。
後半開始から、ブラジルは、右WGのウィリアン(チェルシー)に代えて、ドウグラス・コスタ(ユベントス)を投入した。
後半は、開始早々からブラジルが攻撃を仕掛けられるようになり、怒涛の攻めを見せる。
しかし数多く放つシュートはことごとくGKナバスに抑えられる。さすが、世界一のクラブチームの守護神だ。
前半よりは明らかによい攻撃ができているが、ゴールだけはこじ開けることができず、時間だけが刻々と過ぎていく。
ネイマール(パリSG)も時折りシュートを放つが、普通ならいとも簡単に決めるものの、この日はまったく決めることができていなかった。ボールキープができない場面もあったりし、前試合同様、体のキレは感じられなかった。
そんな中、後半33分、PA(ペナルティエリア)内でネイマールが倒され、ブラジルにPK
が与えられたのだ。いや正確にいうと、PKが与えられかけたのだ。
主審はPKの判定を下したが、VAR(ビデオアシスタントレフェリー)の判断を仰ぐことになった。
その結果、PKは取り消しになってしまったのだ。
意気揚々とボールを抱えてPKスポットに向かっていたネイマールだったが、PKを蹴ることは許されなかった。
VARがない前大会までだったら間違いなくPKだったはずだ。
改めてVARの底力を見せ付けられた。
あと試合は10分少々。
ブラジル選手たちの焦りは増すばかりだ。
シュートまでは持ち込めるのだが、守護神ナバスの壁を崩すことがどうしてもできない。
そんな中、イライラのピークに達していたネイマールが、ボールを地面に思いっきり投げつけイエローカードを受けてしまう。それに対し、主審に抗議したと受け取られたコウチーニョ(バルセロナ)までイエローカードを受けてしまった。
ネイマールはまだしも、コウチーニョのイエローカードは痛いと思った。
今のブラジルでは、コウチーニョのプレーがずば抜けており、出場停止などにつながらなければよいと思った。
しかし、その後もコウチーニョは、冷静さを失わず、素晴らしい動きを見せ続けてくれた。
いよいよアディショナルタイムに入る。
アディショナルタイムは6分と掲示された。
サッカーの試合で6分のアディショナルタイムはなかなか見たことがない。
なんとかしてくれ、と祈るような気持ちで見ていたそのとき、歓喜の瞬間が訪れた。
ブラジルにゴールが決まったのだ。
コウチーニョが決めてくれたのだ。
やっと守護神ナバスの壁を崩すことができたのだ。
私もTVの前で、興奮のあまり大声で叫んでしまった。
このゴールは、ゴールを決めたコウチーニョから始まっている。
中盤でパスを受けたコウチーニョから左サイドのマルセロ(レアルマドリッド)に渡り、ゴール前に入れたクロスを途中出場のフィルミーノ(リバプール)がヘッドで折り返し、ガブリエウ・ジェズース(マンチェスターシティ)が足で落としたところに猛然とコウチーニョが走りこみ見事にゴールを決めてくれたのだ。
これには、私だけでなくブラジル中が歓喜したことだろう。
ピッチ上の選手たちもこれ以上ないぐらいに喜んで歓喜の輪をつくっており、監督のチチも喜びすぎて転んでしまっていた。
試合はあと残り4分ほどだ。
ブラジルはこの虎の子の1点を守り抜くために終始ボールをキープし続けた。
アディショナルタイムも6分を過ぎ、いつ笛が鳴るかというときに、カゼミーロ(レアルマドリッド)からのパスをドウグラス・コスタがゴール前に流し、ネイマールがゴールを決めたのだ。
後半アディショナルタイムでの2ゴールで、ブラジルは苦しみながらも2-0で勝つことができたのだった。
試合が終わった瞬間、ネイマールはピッチ上でうずくまり泣いていた。
相当なプレッシャーだったのだろう。勝てて本当にホッとしたと思う。
このネイマールの行為には賛否両論あると思う。
ネイマールの気持ちは痛いほどわかるが、私は、できればこのような姿は見せてほしくなかった。優勝した後ならともかく、優勝を狙っているブラジルにとっては、これから何試合も戦わなければならないのだ。毎回こんな姿を見せることになるのだろうか。
コンディションが今ひとつに感じたネイマールだが、このゴールをきっかけに変わってくれたらと思う。
ともあれ、ブラジルは勝つことができ、グループリーグ2戦を終え、グループトップに躍り出ることができた。
この結果にブラジル関係者はホッとしていることだろう。勝ちと引き分けとでは天地の差だ。アルゼンチンと同じ境遇になりかねない状況だった。
私自身も、久々に試合を見て興奮した。
この試合を見て一番感じたことは、コウチーニョのプレーの素晴らしさだ。
ポジショニングが抜群なのだろう。攻守のいたるところに顔を出し、すごい勢いで走っている。ほとんどすべてのチャンスのシーンにおいて、攻撃の基点となっている。
非常に安定感があり、安心して見ていられる。本当に惚れ惚れするほどのプレーぶりだ。
次はグループリーグ最終戦になる。最終戦は各組の2試合が同時刻のキックオフとなる。
次のブラジルの試合は、6月27日(水)21:00(日本時間28日(木)早朝3:00)にセルビアとモスクワ スパルタクススタジアムで行われる。NHK総合で生中継される予定である。
ブラジルは、引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる。
決勝トーナメントを見据え、若干メンバーを変えるような気もする。
どのようなメンバーで臨むかも興味深いが、きっちりと勝って、気持ちよく決勝トーナメントへ進んでほしい。